約束の記憶 第三章 5話
この物語はフィクションです。
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『有沢恵の新たな罪1』
恵がワクチンを受けていないことは、瞬く間にナースの間で広まった。
受けるべきだと、諭す者もいれば
受けないことを、称賛する者もいる。
自分の立場を考えると、受けないことはありえない。
でも、子どもは絶対。
危険分子は一欠片も存在させたくない。
あのとき(11年前)は自分のことでいっぱいで、周りの影響は何も考えられなかった。
子どもを生むためにワクチンをうちたくない。
それがばれないように偽装工作をして、周りは私が言うことを信じてくれた。
その結果、思い出したくもない出来事が起り始めた…。
一番にワクチンのことを聞きに来た双葉は、私が受けたと思ってすぐに接種した。
その後、妊娠していたことがわかり、一ヶ月後に流産。
そして‥かえらぬ人になってしまった‥。
あのとき、ワクチンを受けてなければ、流産しなかったのか。
他にも相次いで倒れていき、寝たきりになったり、体力が著しく低下して職場復帰できなくなったり。
受けたことにしてワクチンから逃れていた医師たちも、罪悪感からか、現場から離れていった。
人手不足でとにかくやることをこなすだけの日々を送っていた。
何も考えないようにして過ごさないと、辛くて辛くて死にたくてたまらなかった。
そんな想いをしながら子どもが欲しかったのに、授からなかったのは、私への罰なのか。
この夢の中では、未来がどう変わるんだろう。
つづく
(次回は6/8にUPします)
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