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約束の記憶 第二章 8話

小説の第二章 8話です。

ここまでのお話はマガジンからどうぞ↓
https://note.com/saorin11/m/me6fc5f2a8b10


とぼとぼと歩いていると後ろから声をかけられた。

「一葉さんですか?」

振り返ると、驚いた顔をしたもみじがいた。

えーえー!!
会ったらダメと言われた後で、ばったり会うとか、ないでしょ。

どんな顔をしたらいいの‥
とりあえず笑うしかない‥

「もみじさんじゃないですか!こんなところで会えるなんて‥」

満面笑顔のつもりだったけど、ちょっとひきつってたかな。

「似てるなーと思って。思い切って声かけてよかった」

うれしそうにきらきらしているもみじをみて、さっさと逃げるわけにはいかなかった(^_^;)

「もみじさん、雰囲気変わりましたね。すっごくきらきらしてて楽しそう」

顔を赤らめて、照れた笑顔もかわいかった。

「毎日充実してて楽しいんです。これも一葉さんのおかげです」

「え?私のおかげなの?」

「青森での出来事がきっかけだから。一葉さんには感謝してます。あれから会えないかとずっと探してました」

真っ直ぐな目でそう言われると、なんと答えたらいいものか、考えているとさらに‥。

「夢の中の出来事のように思っていたけど、私のために一葉さんがきてくれて、必要な言葉をかけてくれたんだと思っています」

あれでよかったのか。他にやり方がなかったのか。私の中でまだ答えが出てない。
目を潤ませて話すもみじをみていて、心が揺れ動く。

「あのね、もみじさん。ホントは言ってはいけないんだけど‥」

「うん、言わなくていいよ。知りたかったけど、言わなくていいから」

思い切って話してしまおうとしたら、言葉を遮られた。

「どんな理由があって、どんな方法であんなことができるのかわからないけど。きっと知らない方がいいことなんだろうから言わなくていいよ。ただ、会えたらお礼が言いたかったの」

「お礼を言うのは私の方よ。ありがとう。ねぇ今やってること教えて」

どこから話そうか、少し迷って、あっと思いついた。

「じゃあ、古民家カフェ今からいく?」

「いくいく!」

今の立場を忘れて、ただの友人同士として積もる話をした。

なぜこの時邪魔が入らなかったのか。
その事実を知るのはもう少し後のことだった。


つづく
(次回は4/20にUPします)


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