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約束の記憶 第三章 12話

この物語はフィクションです。

ここまでのお話はマガジンからどうぞ↓
https://note.com/saorin11/m/me6fc5f2a8b10

目が覚めると、ズキンズキンする頭痛と、のどに痛みがあった。

あれ・・ベッドにいるけど、どうやってここにきたのか思い出せない…。

有沢恵は体を起こして、しばらくぼーとしていた。

「そういえば、ふわっと体が浮いてここまできたような。でも誰かがそばにいた気がするけど誰だったっけ?」

記憶をたどっていると、部屋のドアが開いた。

「え?」

イエローグリーンのニットを着た女性が、ペットボトルを持って部屋に入ってきた。

「病院で会った方ですよね?どうしてあなたが?」

病院でワクチンの接種会場を訪ねた女性だった。すぐ思い出せたのは、よく知っている人に似ていて、その人かと思ったからだった。

「いきなりごめんなさい。あなたを訪ねてきたら、ご主人が出かけられるところで、そのままいてしまって…。大丈夫ですか」

「えぇ、まだぼーとしているけど大丈夫です。そもそもどうしてあなた・・・」

「顔色真っ青ですよ。まだ寝ていたほうがいいから、よかったらこれ飲んでください」

彼女が手に持っていたペットボトルを手渡された。

喉がカラカラで、躊躇なくそのペットボトルをあけて一口飲んだ。

水なのにいい香りがした。


バタッ


恵が倒れて、女はその場から去った。


別の足音が、意識が遠のく中で聞こえてきた。


「間に合わなかったか・・・」


つづく
(次回は7/13にUPします)

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