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江戸のお味 さつまいもの天ぷら編

江戸時代の料理を再現するシリーズ!
今回はさつまいもの天ぷらを作ります。

さつまいもの天ぷらって、全くもって江戸時代の雰囲気がありませんし、なんなら「おばあちゃんが作ってくれるおやつ的食べ物」だと思いますが、

さつまいもの天ぷらは、れっきとした江戸時代のお料理なんです。


さつまいもは飢饉の味方だった

さつまいもが普及したのは江戸中期。飢饉の時、食料を確保するために栽培が推奨されました。

また、江戸時代の農村部では米は年貢にとられ、農民が食べれる分はわずかでしたから、芋類はお腹を満たしてくれる重要な食物だったそうです。


「甘薯百珍」を読む

今回参考にする本は、前回と同様、
「江戸料理読本」(松下幸子著/ちくま文芸文庫)
です。

本書には「甘薯百珍」という、江戸時代に発行された、さつまいも料理の本が紹介されています。その中でも、私が美味しそうだな、と思ったのが「衣かけいも」です。

衣かけいも
生にてきり  うどんの粉水にてとき  豆油せうゆ少し入 
いもをまぶし  油にてあげる
又いもと生姜同じく細ぎりにして取合
右の衣かけ 油にてあげたるもよし
一部漢字が変換出来ないため、平仮名を使用


ざっと読めば、なんとなく作り方はわかると思います。文章の前半はシンプルなさつまいもの天ぷら、後半は、さつまいもと生姜のかき揚げの説明です。
この文章と、著者の松下氏の解説をもとに、実際にさつまいものかき揚げを作ってみたいと思います。 

①具材を切る

さつまいもは細切りに、生姜は千切りにしていきます。皮をむくか迷いましたが、たぶん江戸時代の人たちは、皮はむかなかっただろう!と判断。そのまま使用しました。

生姜は細く
さつまいもは水に少しさらす。太すぎ?


②溶き衣を準備する

原文にある「うどんの粉」とは小麦粉のこと、そして「豆油」は「せうゆ」と読み、つまり醤油のことなのだそうです。
天ぷらの衣に醤油で味をつけるとは面白いです。

醤油の量は適当。小さじ1ほど。


③衣をまとわせ、油で揚げていく

溶き衣に、切ったさつまいもと生姜を入れて、
からめていきます。

フライ返し、もしくは大きめのスプーンですくい、160℃の油の中に滑らせるように落としていきます。

徐々に温度を揚げながら、3分ほど揚げたら取り出します。

④完成!!!

無骨な見た目ではありますが、何やら美味しそうなものが出来上がりました。

食べてみると、芋のホクホクとした甘さ、衣のカリカリとした食感、そして、生姜の風味がアクセントになっていて、とっても美味しいです!ご飯というよりおやつのような一品になりました。

衣に醤油で香ばしく

ちなみに、かき揚げの衣にお醤油を入れましたが、少量ではあまり味が感じられませんでした。
試しに、芋の天ぷらの衣にたっぷりと醤油を入れたバージョンも作ってみました。

左がノーマル、右が醤油多めてんぷら

醤油を多めの衣は、醤油の味がするというよりは、お煎餅のような香ばしい風味がついて、これもとても美味しかったです。他の具材でも色々試したくなります。

次回は、豆腐料理


家族に「今日の昼ごはんは江戸時代の料理を作るよ!」と伝えたときは、反応が悪かったのですが(そりゃそうだ)今回のさつまいもの天ぷらは家族にも大ウケでした。美味しいおやつとして、また作りたいと思います。

そして、江戸時代のお料理、次回は霰(あられ)豆腐を作りたいと思います。 



この江戸料理シリーズ、お菓子の記事に比べてあまり読まれてませんが(笑)私がやりたいことなので、地味に続けたいなぁと思います。
よろしければ、またお付き合いください!
読んでくださりありがとうございました。

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