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母にできる事はまだあるかい

高校3年生の次男。個性は順応性のある狼だ。

彼は、ぐるぐると考えるのが趣味。

トイレで、風呂場で、バスのなかでいろんなことを考えているらしい。

だからといって、答えがパン、とでるようなことは少なく、常に同じところをぐるぐると回っているようだ。

本人曰く、「答えをだすために考えてないから」

らしい。よくわからん。

とりあえず走り出すことでスイッチがはいる私とは真逆である。

狼なだけあって、集団行動が嫌い。おひとりさま大好き。家に籠るの大好き。

いつも飄々としている彼が、最近はなにかしょんぼりしていた。

「どうした?」と聞くと「うーん、別に」という。

お得意でたよ!「別に」!

「なんか、元気ないやん」

「んー、別に」

「あ、そ」

子供本人が話し出すのをじっと待つのは、私にとっては苦行である。

食事中、無言。

風呂あがり、無言。


「ホレ、みかん」

と、シビレを切らした私が

みかんを手渡したら、素直に食べた。

「部活さあ、しばらくいかないうちに退部になってた」


お。作戦成功。

話し出した。

たしかに、最近あまり部活にいってないなと感じてたが、何かあったらしい。

「部長となんか合わなくて・・ケンカにもなって。俺のほかも何人か辞めたんだけど、

俺はまだ辞めるって言ってないのに、名簿から消されてた」

彼にとっては、まだ結論をだせないまま、

所属する場所を奪われたような気になったのだろう。

「そうかあ。残念だったね」

「うん」

「まあ、仕方ないね。アンタもはっきりしてなかったんだろうし」

「うん」

「なんかしてほしいことある?」

どういうクロージングをすればいいかわからず、聞く。

「んー。豚汁。明日作って」


豚汁ね!まかしとけ。

なんとなく、してやれることがあって

ほんのり嬉しかった夜だった。

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