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花椒の味/ワタシハツウォホ

作品の概要


2021年11月5日公開。香港映画

ヘイワード・マック監督作品!香港電影金像賞。

香港/台湾/重慶の異母違いの三姉妹が父の葬儀で出会う。お互い初めて姉妹がいたことを知りいがみ合うかと思いきや、父が営んでいた店の秘伝火鍋スープを復活させようと共に奮闘する。各々の家族と向き合い自分自身を見つめなおして生きる癒しと成長の物語。

一家火鍋は郷愁の世界

何よりこの映画のkeyになる火鍋のお店の雰囲気はいとおしい。
私が中国に住んでいた時と変わらない、雑多で、むぎゅむぎゅと人の『恩』や『想』が飛び交う感じ。

しかも麻辣火鍋も辛そう!美味しそう!
ぐつぐつ煮える鍋を観てお腹が空かないわけがない。食器のぶつかる音や乾杯のカチャンという音も、空腹を倍増させる。

日常や生活感が全て、娘たちが探求する父の火鍋のスパイスになる。

舞火龍は恋慕のごとく

映画の幕が降りる最後の最後まで、三姉妹とその周りの人物像がとにかく素敵でチャーミング!

亡くなった父親の女癖には正直抵抗はあるけれど、もしかしたら人より愛情が多いだけなのかもしれない。抱えきれない愛情を持ち合わせてしまった人物。

私が特に好きなのは祖母役のウー・イエンシューさん。
中国ですしよくあるけど、おばあちゃん達が雀卓を囲むシーン。
愛情と毒のある会話。
自分についての話だなぁと感じながらも祖母の体を気にして世話を焼く姿とか、気持ち良いくらい真っ直ぐな末っ子との2人の絆が尊い!

本当に豪華なキャスティング。
それでいて驚くほど気持ちの変化の描写が丁寧。
セリフが秀逸だから、各自が問題を抱えていても彼らの前には光が見える気がする。


宗教や公園相親、旧正月。
これは日本とのわかりやすい違い。一方では、人との関わる距離や深さも日本より密だった。

そういえばもうすぐ旧正月ですね(22年は2月1日から)。新年を祝い賑やかに厄を祓って福を呼び込むのかな?新しい年が今日より光の見える年になるように。

好きなセリフ

映画の中で出てきた沢山の素敵なセリフ。中でも印象的だったものは

人は刺激を加えると意識が分散される。
辛味で痛みを感じればほかの痛みは消える
ハー・ユーシュー
死んだとしても引っ越すのと同じ。次は人の心に住む
シア・ルーグオ

心が強くなる。不安が軽くなる。自己肯定をつかみなおせる気がする。

最後に

映画のレビューでもないし、2022年に観た(観直した)映画作品について。『ツウォホ』(=寝る前におやつを食べる)な状態で最新のものも昔のものも気にせず綴ります。

ありがとうございました。

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