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赤ちゃん訪問

コミュニティナースの研修が終わって、前のめりにしていた活動を小休止しているような感覚だ。研修の終わりはむしろ始まりで、出発式で盛大に送り出してもらったのに、私一体何をやっているかな、と自問自答する。前のめりは続かないから、身体をまっすぐに起こして、なんなら多少寄りかかってふうと息をつくのはいいだろう。でも、重い腰をいつまでも地面に付けていたら、根が生えてしまう。

小さく始める。大きなことはしていないけど、ものすごく小さなことは実はしてみている。それは、お産を終えて1ヶ月経たない褥婦さんの友人の家に遊びに行くことだ。本来、産後1ヶ月は身体を休める時期なので、落ち着いてから…と思いがちだけど、この時期にこそ授乳が不安定だったり、まだ身体が本調子じゃなかったりと、手がいる。おっぱいマッサージだったり、育児の小さな悩みだったり、この時期は一番私の得意な分野なのでこれを生かさない手はないと思った。大好きな友人に会いに行きがてら、病院に行くほどではないけど気になる小さいあれこれが、ちょっと解決できたらいい。

お土産にケーキを持ってめかしこんで行く訪問ではなくて、メガネにすっぴん上等、なんならおかず一品持って家事も手伝えたらなおいい。産褥ヘルプという概念はNPO法人マドレボニータから教わった。それにプラス、私は助産師としてもう少しできることがあるはずだ。

お家に伺うと、いつもクリニックでしか会えないお母さんと赤ちゃんの家での生活が見えた。今回、お宅に訪問した二人の友人は両方経産婦さんで、余裕はありそうだったけど、それでも小さなハテナがあったり、こういう場合どこに相談したら良いのか、など質問してくれて嬉しかった。おっぱいも、小さなしこりをマッサージして消失させたり、授乳の際のアドバイスをしたりした。

助産師として私が何かをしてあげるだなんておこがましいなあと思う。まずは目に見える範囲の自分の大切な人に、私にできることをして、そして私も知らない世界を学ばせてもらう。それが、自分の経験になって、家に帰ったお母さんの姿や生活を見ることができる。めちゃくちゃ地味で小さいけど、これもコミュニティナース的活動のひとつだと思う。こういうのを積み重ねていくうちに、もっとこういうニーズがあるかも、とかが見えてくる気がする。町に出てつぶやきを拾うように、家に伺って、お母さんたちのつぶやきを拾う。そのために、まずは友人の肩を借りる。

最近、友人たちがお産ラッシュだ。どこぞの研修に行って学ぶよりも、近くにいくらでも実践できる場はありそうだ。小さく始めるって、別にイベントを企画するだけではないのか。うん、これならたのしいかも。