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確かにここにあったという証

途中でなくなったものは、はじめからなかったのか。
誰にも言わず、海の中の貝のようにじっと押し黙っているうちに苦しみは過ぎ去り、渦中を過ぎたら、その出来事はきれいさっぱりなくなるのか。
その時の自分のざらついた気持ちや苦しみや悲しみも、時間と共に少し淡くなっていくように感じる。しかし、それが確かにあったという事実は、決してなくなりはしない。なかったことにはしたくない。

当たり前のように過ごしていた1日1日を、怯えながら、噛み締めながら、拾い上げながら、今度こそ過ごしたい。

もしもある日突然なくなってしまったとしても、確かにそれがあったという証を、今の正直な自分の気持ちを、丁寧に残しておくことこそが、なによりも大切な供養になると思うから。