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幸せ慣れしていない者の日常

子どもを保育園に迎えに行く車の中で、何度も陥る感覚がある。

「私には子どもが本当にいただろうか?」「これは現実か?」

こうした夢と現実があやふやになる夢オチ的な感覚を、嘘みたいだけど本当に何度も何度も感じる。
その都度、子どもの泣いた顔や笑った顔、一緒に食べたものなどのディテールを一つずつ自分の記憶から手繰り寄せ、これは間違いなく現実だ、と自分に言い聞かせる。それは保育園に曲がる角のところまでくると確信に変わり、車を降りて小走りで園の玄関へ向かう頃には、まるで当たり前のような顔をして、朝と同じ服を着て目を見開いてパタパタと駆け寄ってくる我が子を抱きしめる。