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温泉と私

温泉は好きですか?

実は私、温泉がずっと苦手でした。

子供の頃、祖父母の家にはお風呂が無く、近所の銭湯行くのが祖父母の家に泊まりに行った時の日常でした。
大阪の下町という地域柄もあってなのか、母と小さい私が銭湯に行くとよく話しかけられていました。
知らない人。母より少し年上位の女性。そう、大阪のオバチャンに。
「お嬢ちゃん、何歳?」「一人で洗えるのエライねー」「ほら、このお風呂泡が出るわよ!楽しいわよ」「うちの孫も同じくらいでねー」などなど

皆さんサービス精神というか、子どもに構いたくて親しみを持って声をかけてくれてるんです。
悪意が無い事は子供ながらに伝わってきました。
でもね、それが嫌で嫌で仕方なかったんです。

私ちょっと繊細な子どもだった事もあり、
初対面×大人×ハダカ×距離を詰めてくる×こっちもハダカで逃げ場なし
のコンボは当時の私にとっては情報過多でした。
どうしようもなく怖くて不安な気持ちになるのでした。

対応に困って母の後ろに隠れたり下を向くと大体のオバチャンは察して離れていってくれました。
(それでも「はずかしいのねー」とか「あら、びっくりさせちゃってごめんねー」とか一言残していく。オバチャンのそういうどうにか爪痕残そうとする貪欲さ自体は結構好きです。この時を除いては。)
なのでそれ以上の怖い体験などをした事はありませんでした。
それに、頻度もそれ程多かった訳ではないと思います。
でも、やっぱり子どもの頃に嫌な気持ちになった体験はネガティブな記憶として刷り込まれるんですよね。

幸い、私が小学生の頃に祖母の病気を理由に祖父母の家にはお風呂が増設されて銭湯に行く習慣は無くなりました。
祖母は銭湯に行けなくなるのを寂しがっていましたが、私にはむしろ好都合。怖くないしお風呂の中でのびのび歌ったり喋ったりできる!
心の中でガッツポーズをしたのを覚えています。

それ以来、銭湯の類の大きなお風呂には旅行の時くらいしか行く機会も無くなりました。
それ以来「みんなでお風呂に入る所」はずっと苦手な場所でした。

大人になるにつれて温泉への苦手意識はだんだんと克服されてきました。
そもそも話しかけてくる人はいないし、
目が悪い私は裸眼で入って周りをよく見えない状況にすることで視界がぼやけるので細かいことが気にならなくなり、自分の体が温まることをじっくりと感じられるようになってきたのです。

温泉は好きですか?今聞かれたら

うん、まぁ好きかな。好きになってきました。と答えます。

そう思えるようになったのは、働き出してから住んだ山梨県、青森県、そして長野県の温泉体験からだと思います。

温まるとか肌がすべすべになったり疲れが和らいだりといった温泉の効能と言うか良さも、そもそも一人暮らしのアパートの狭い浴槽とちがって足がのばせるとか大きなお風呂の良さも感じられるようになりました。

そうすると、子どもの頃のネガティブな記憶も想い出話として語れるようになりました。

先日のnoteでも書いたけど、そんな私は身近な温泉「トンボの湯」の魅力を発掘中です。


星野温泉トンボの湯では、
子ども達が温泉を安全に楽しめるよう、
温泉の入り方を学べる講座も定期的に開催しています。

温泉では走らない、湯船では泳がない、守ってほしいマナーも親が教えるより講座で学ぶという方法で伝える方が効果があったりします。

親にとっては子どもが自分と離れて温泉に行く背中を見送る、成長体感イベントでもあります(その光景を見ながら胸を熱くするスタッフは私です)。

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