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#25 高校生サーファー冬の時間割

「1年中、毎日サーフィンをしながら高校生活を送りたい」というのが都会の中学生だった息子の切なる願いでした。それを叶えるために、南房総に拠点を持ち、地元の県立高校へ進学し、母は二拠点生活を始めることになったわけですが、たとえ海の目の前に住んでいても、1年中サーフィンっていうのはなかなか厳しいんだな、ということが一冬越してみて分かりました。

やはり寒い!というのもありますが、この冬は暖冬だったせいか、たぶん、例年よりはましだったのではないかと思います。それよりも「明るい時間が短い」というのが、想像以上に大問題でした。

もちろん、冬になると朝、日が昇るのが遅くなり、夕方、日が暮れるのが早くなる、ってことは知っていましたよ。ですが、体感的に分かっていたかどうか、というとちょっと怪しい。都会に住んでいると、そんなに関係ないんですよね。暗ければ街灯がついてるし、商店街も明るいし、日が暮れるのが早いからって、会社や学校が早く終わったりしないですし。

ところが、サーフィンはダメなんです。暗くなったらもう終わりです。「冬ってこんなに昼間が短いんだ~!」と生まれて初めて実感しました。

4月に入学して以降の息子の高校生活は概ね次のようなものでした。(波がある場合。波が全くない日も結構ありますので、そんなときはスケボーしたり、家でゴロゴロしたりです)

朝、起きて6時~7時に家の前の海でサーフィン。シャワーして制服を着て朝ごはんを食べて、お弁当を持って、7時半過ぎに学校へ出発。帰りは放課後に何もなければ16時の電車(こちらは電車が1時間に1本しかないので、4時電、5時電と呼んでいます)に乗って帰宅し、4時半頃から日が暮れる18時頃までサーフィン。

これが夏に向けて夕方サーフィンがどんどん長くなり、暗くなる19時過ぎまでできるようになっていきます。夜明けも早くなるので、波がいい時は朝5時半から入ったりもしていました。高校生活を送りながら、たっぷりサーフィンができる充実した毎日。「サーフィンなんていつでもできる」という感じだったので、「あんまり波が無いから、今日はやらなーい」なんていう日も結構ありました。

ところが…9月後半頃から、どんどん日の入りが早くなって、夕方サーフィンが短くなっていきます。10月に入ると、17時過ぎに暗くなってしまい、慌てて帰ってきても1時間できるかできないか。11月後半、12月、1月になると帰宅時間にはもう暗くなっていて、サーフィンどころではありません。

といっても、11月頃までは朝ご飯を先に食べることで6時半~7時20分頃まで朝サーフィンができていました。しかし、12月、1月は朝もダメになり、平日サーフィンは絶望的に。その分を取り返そうと、冬休み期間は毎日思い切りサーフィンしていました。12月、1月のサーフィンなんて、極寒でつらそうなのですが、息子によると、海水温は秋の名残りで温かいので、意外とそうでもないそうです。実際、一番厚手のウェットスーツを着始めたのは1月下旬だったと思います。まあ、大人のサーファーの中にはブーツにグローブ、ヘッドキャップしている人もいるので、体温の高い高校生だから、ということもあるのだと思います。

2月に入ってからはわずか30分とか40分とかですが、再び朝サーフィンができるようになりました。しかし、ここで問題が…。2度の大型台風とその後の嵐などで、家の前の海の地形が変わってしまい、波が全く割れなくなってしまったのです。家の前はこの写真の通り、朝から晩まで海鳥がノンビリと浮かぶだけで、波は一向に立ちません。

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仕方がないので、家から車で5分ほどの波が割れるサーフポイントまで送り迎えすることになりました。これが地味にきつい…。2月の波がある日のスケジュールは次の通りです。

朝、6時15分に車でサーフポイントまで送り、私は6時25分に家に戻って約30分間でお弁当と朝ごはんのおにぎり作りをし、また7時に車でお迎えに行き、車中で朝食のおにぎりを食べ、7時10分に家に戻り、シャワーして制服を着てお弁当を持って、7時半過ぎに学校へ出発。帰りは放課後に何もなければ16時の電車に乗って帰宅。ウェットに着替えて16時半ごろ車でサーフポイントまで送り、17時半に車でお迎え。

とにかくせわしないのは朝の母さんです。お弁当と朝食づくり30分なので、当然ながらろくなものを作ってませんが、そこは諦めてもらっています。3月が近づくにつれ、このスケジュールはさらに早まり、朝5時半起床で、6時に出発と徐々にサーフィン時間が増えてきました。

いつ夜が明け、いつ日が暮れるのか、なんてこれまでの人生で気にしたことは一度も無かったのですが、この冬は日々の変化を実感しました。それで気づいたのですが、冬至以降、春に向けて日の入り時刻が遅くなるスピードよりも、日の出時刻が早くなるスピードの方が早いんですね。感覚的には、日暮れ時間はなかなか遅くならないけど、日の出時間はどんどん早くなる、って感じです。そんなことある?気のせいでは?と思いましたが、実際、2月の日の出日の入り時刻表を見ても、差はほんの少しですが、そうなっていたんです。こんなこと、人生で初めて知りました。

あとね、冬至というのが1年で一番昼間が短い日、というのはご存じかと思うのですが、実は日の入りが一番早い日でもなく、日の出が一番遅い日でもない!っていうのは、意外と知られてないのではないでしょうか。例えば、千葉県では日の入りが一番早いのは12月の上旬で、日の出が一番遅いのは1月上旬となっています。面白いですよね。

だいぶ脱線してしまいましたが、要するに、高校生サーファーの冬は時間との闘いだった、ということなんですが、春休みを前に学校が休校になってしまったので、時間の制限が無くなりました。今は、午前3時間、午後3時間と、勉強は全くせず、毎日たっぷりサーフィンを楽しんでいます。おいおい…

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