仏教における「智慧と慈悲」の本質。
「仏教の本質に迫る」シリーズ第二弾です。
何度も申し上げて恐縮です。簡単なことを難しく述べることは簡単ですが、難しいことを簡単に話すことは難しいものです。
なるべく簡単に話してみたいと思います{笑
✅仏教において「智慧と慈悲」は非常に大切な教えの一部です。これをわかりやすく理解できるように、日常生活で感じることができる例を用いてみます。
✅まず、「智慧」とは何でしょうか。智慧とは、物事の真実を深く理解する力のことです。これは、ただ単に頭が良いという意味ではありません。仏教における智慧は、世界や生命の本質を見抜くことができる深い知恵のことを言います。例えば、友だちが何かにつまずいた時、その表面的な問題だけでなく、その背後にある本当の問題を見抜く力です。
✅次に、「慈悲」ですが、これは他人への深い思いやりと愛情を意味します。自分だけでなく、他の人々や生きとし生けるものすべてに対して、温かい心を持つことです。たとえば、友だちが悲しんでいる時に、ただ側にいて慰めの言葉をかけるのも慈悲の一つの形です。
✅仏教では、智慧と慈悲は一緒になって初めて真の意味を持ちます。なぜなら、深い知恵があっても、それを使って人々を助け、世界をより良い場所にしようとする愛情がなければ、その知恵は価値を成さないからです。同様に、たくさんの愛情があっても、どのようにして最善を尽くすかを理解していなければ、その愛情は効果的に行動に移すことができません。
✅この二つが合わさることで、私たちは周りの世界をより良くする力を持つことができます。智慧によって最良の行動を見極め、慈悲によってその行動を実行することができるのです。これは、例えば、友だちが問題を抱えている時に、その問題を深く理解し(智慧)、そしてその友達を支え、助けるために行動する(慈悲)ことに例えることができます。
✅このように「智慧と慈悲」は仏教において非常に重要な教えであり、私たちの日常生活においても大切な価値を持っています。それは、より良い人間関係を築き、豊かな社会を作り上げるための鍵といえるでしょう。
はる物語(じつは実話):名前は仮称です。
かつて、小さな村にはるという名の少年が住んでいました。はるは学校での成績もよく友達も多い、誰からも愛される子でした。しかし、彼は心の奥でいつも思っていました。「もっと人の役に立ちたい」と。
ある日、村の外れに住むさとしという少年がいじめに遭っているという噂を耳にしました。さとしはいつも一人で、学校にもあまり来ないことが多かったです。はるはこの問題に対して、どうにかして助けたいと強く思いました。これが、はるの「智慧と慈悲」の物語の始まりです。
まず、はるは智慧を使って、さとしがなぜいじめられているのか、そしてなぜ学校に来ないのかを理解しようとしました。彼はさとしに近づき、少しずつ友達になることから始めました。はるは、さとしが話しやすいように、自分の趣味や好きなことについて率直に話しました。徐々にさとしも心を開き始め、自分の家庭の事情や学校で感じる孤独について話し始めました。
はるは、さとしが特に数学が苦手で、そのために他の生徒たちからからかわれることが多いことを知りました。ここで、はるは慈悲の心を発揮しました。彼は自分の時間を割いて、さとしに数学を教えることを決心しました。また、はるは他の友達にもさとしを受け入れるように働きかけました。彼は、「さとしさんも僕たちと同じで、友達が欲しいんだ」と他の子どもたちに伝えました。
時間が経つにつれ、さとしは数学が得意になり学校に来るのも楽しみになりました。他の子どもたちもさとしをいじめるのをやめ、彼を一人の仲間として受け入れ始めました。
はるの行動は、村全体に温かい変化をもたらしました。
✅この物語は「智慧と慈悲」を実践することの大切さを示しています。はるは、ただ単にさとしを助けたいと思っただけでなく、なぜさとしにそのような状況が起きているのかを深く理解しようとしました(智慧)。
✅そして自分の時間と努力を使ってさとしを支え、周りの人たちにも彼を受け入れるように働きかけました(慈悲)。
✅このようにして、はるは自分自身だけでなく、周りの世界をも、より良い場所にすることができたのです。
わたしの現実の師は、曹洞宗大本山永平寺第78世貫首、宮崎奕保禅師です。平成18年の正月に述べられたお言葉を掲げます。
わたしは、だれの話よりも宮崎禅師の教えが一番わかりやすかったです。「右手を智慧、左手を慈悲としてそっと合わせる。これが合掌の姿や。まことというのは実行や。線香をまっすぐ立てるように背筋をまっすぐにして坐る。何も考えない。スリッパがいがんでおったら黙ってなおす。そういう日日の行いが仏道であり、真理だ」等々。今も心に生きておられます。
ご覧下さり誠に有難うございます。
念水庵 正道
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