食材に対する思い
当店で提供する料理は、僕がイタリアで学び感じた日常的な郷土料理。使う食材も、高級食材というよりかは、ごくありふれた季節の食材が大半を占めます。そこで、足を運んでくださるお客様に感動を与えるのが僕の使命。その為の武器となるべき食材を選ぶ際に最も重要視しているのは、生産者の気持ちがこもった食材かどうか。生産者の顔が見えるかどうかというレベルの話ではなく、生産者の心意気が理解できた食材を料理すること。それを心掛けています。一度顔を合わせただけの方の食材を、顔の見える生産者の食材、と言ってしまう事は簡単ですが、何度も足を運んで交流する事によって、その生産者のひととなりを知り、その産地の情景を感じとる事で、ようやく自分の料理と溶け合えるのではないか、と考えているからなのです。これは生産者に敬意を払うとともに、自分の中で消化(昇華)した上で、その食材を調理させて頂きたいと思っています。ワイン選びも同様で、お店で扱っているワインは、イタリア修行時に足を運び、繋がりを感じ取ることができたワイナリーの物です。食材もワインも一部を除き、僕が作っている物ではないからこそ、こんな思いが一層強くなりました。また、料理人というものは、お客様と生産者を繋ぐ立場でもあると考えています。心ある生産者の食材を心を込めて料理し、その料理がお客様の心を満たすことができればと考えています。それが生産者を知るキッカケになったり、彼等の想いを少しでも感じ取ってもらえたとしたら、こんな嬉しいことはありません。
(2018.6.8公開)
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