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食べ過ぎて苦しむ高度な文明社会

この前、実家に帰った時に、大阪土産として551蓬莱の豚まんと、豚まんだけではなく、焼売や餃子もたっぷりと買い込んで、両親と一緒にたらふく食べていました。

やはり凄く美味しかったのでたくさん食べていたのですが、ボリュームもあることから、どうしてもすぐにお腹がいっぱいになってしまいます。

そこをもう一息気合を入れて多めに食べたところ、当たり前の様に食べ過ぎてしんどくなってしまったのです。

僕は20代の前半にがんの治療で胃を全摘出しているので、食事をした後に後遺症として「ダンピング症候群」という症状が出てしまいます。

これは、通常は胃を通って消化されてから腸に送られるはずの食べ物が、直接腸に流れ込むために、眩暈や動悸が起こってしまう現象です。手術をしたのはもう何年も前なので、だいぶ症状は和らいでいますが、今回の様にたくさん食べると今でもこの症状は発生します。

これはよく考えると非常に不思議な話です。

本来人間は食事ができず飢えに対して苦労していたにも関わらず、今の自分は満腹になることで苦労しているのです。

この状況を昔の人が知ったら、理解に苦しむでしょう。

少しだけ歴史を振り返ってみると、先進国では、20世紀半ば以降、農業技術革新や経済成長、福祉制度の整備により飢餓の克服に乗り出しています。日本では、戦後の食糧不足を背景に1947年から学校給食が普及して子どもの栄養状態が改善され、その後の奇跡的な高度経済成長期によって、日本人はもはや飽食といってよいほどに、飲食を謳歌することとなります。

もちろん、それ以前の人類は狩猟採集によってその日を凌ぎ続けたり、農耕を始めることで備蓄を学びながらも、天候などの外部要因に左右されて不作に襲われたり、食料の確保に苦心し続けてきた歴史が存在します。

こうして少し振り返るだけでも「食べ過ぎて苦しんでいる」という逆転した状況をもたらしている現代が、いかに高度な文明なのかがわかります。

飢えることはなく、東京にいても大阪の豚まんを食べることができ、生死に関わる病気に罹っても治療して生き延びることができます。寒い日に部屋を暖めてコタツに入りながらアイスを食べることもできれば、ビールを飲みたいけど酔っ払ってはいけない時に、ノンアルコールビールを飲むことだってできます。

昔の人には想像もできない程の高度な社会に暮していることを再認識し、少し食べ過ぎて苦しんだくらいで文句を言わないよう、日々の感謝を忘れずに丁寧に暮らしていこうと思います。

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