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「変わらず心が休まる場所でありたい」大宝八幡宮のお膝元で安らぎを提供する団子茶屋が、代々受け継ぐ『おもてなしの心』

大宝八幡宮のすぐ側にある、明治元年創業「えびすや」さん。
4代目の須永眞士(まさひと)さん、奥様の純子(じゅんこ)さん、息子の雄磨(ゆうま)さんに、それぞれの目線でそれぞれの「えびすや」を話していただきました。
下妻市民なら知らない人はいないであろうこのお店の歴史と今、まだ知らないえびすやの魅力と『おもてなしの心』がたっぷり詰まっています!最後までお楽しみください!

ー時代の流れとともに変わる『えびすや』


ーー眞士さん、純子さん、雄磨さん。よろしくお願いします!
明治元年創業、眞士さんで四代目とのことですが、かなりの老舗ですよね。ほぼ江戸時代……

眞士さん:私も創業当初のことは詳しく無いんですけど、宿場町の団子茶屋として始まったみたいです。

ーー今でも団子はえびすやさんの看板商品ですもんね。

眞士さん:今でこそ機械の力を借りていますが、私が幼い頃は杵と臼で作ってたはずです。


えびすや名物『厄除だんご』

ーー杵と臼で作るとなると、人手もたくさん必要になりそう……

眞士さん:当時は今よりも忙しそうでしたよ。従業員さんもいっぱいいました。

ーーお客さんは皆さん大宝八幡宮の参拝に来ている方ですか?

眞士さん:そうですね。当時は新しくバイパスができたり、つくば万博が開催されたりで、バスツアーが盛んだったんです。大宝八幡宮もツアーで立ち寄る場所になっていて、そのお客さんが多かったのかな。

ーー時代の変わり目、ですね。

眞士さん:バスツアーだと大人数のお客さんが一気に来ますよね。それも限られた休憩時間に食事を提供しなきゃいけないので、提供時間が短いラーメンなどの麺類を始めたみたいです。

ーー来るお客様に合わせて変わっていった、と。

眞士さん:ただ、その後はバスも減っていきましたからね。今度は個人のお客さんに向けたメニューを増やしたり…人の流れが大きく変わって、えびすやも変わった時代だと思います。

雰囲気からも仲がいいのが伝わってきます

ー「このままじゃダメかも」と思った光景

ーーところで、眞士さんはいつ頃『えびすや』を継がれたんでしょうか?

眞士さん:32か33歳くらいの頃ですね。結婚もしていて、雄磨も生まれていました。

ーーということは、以前は他のお仕事を?

眞士さん:サラリーマンです。どうしても店を継ぎたくなくて(笑)。

ーーそうだったんですか(笑)。

眞士さん:今とは違って夜まで営業してましたし、ずっと忙しそうにしてる記憶があって。私含めて兄弟みんな嫌がりました。

ーーでも、継ごうと思えるようになったんですね。

眞士さん:この大宝地区には、大宝八幡宮の神事やお祭りを運営する会があるんです。サラリーマンだった時はなかなか参加できなくて。休みをもらって来ることもありましたけど、せっかくならこの地元で店をやりながら、お祭りに参加するのがいいんじゃないかと思ったんです。

ーー眞士さんをここに繋ぎ止めたのも、大宝八幡宮だったんですね。

眞士さん:あとは、戻って来るたびに忙しそうにバタバタしてる「えびすや」が目に止まるんです。その姿を見て「このままじゃダメかもなあ」って思ったのも大きいですね。


昔はもっと広かったという店内

ーー嫌だと言いつつも、そんな姿を見たら気になっちゃうと思います。

眞士さん:実は私が継ぐ前、結婚してすぐに妻が『えびすや』で働いてたんです。

ーーえっ、えびすやでは眞士さんより純子さんの方が先輩ってことですか……!?(笑)

純子さん:そうなの!私の実家もお店をやっていたので、「私に任せて!」って感じでした(笑)

ーー元気でパワフルな純子さん、心強い!

眞士さん:本当に妻の協力が無かったらここまでこれてなかったです。これは言っておかないと(笑)

ー店を継ぐこと、それぞれの想い

ーーしかも、今では雄磨さんも帰って来てくれて、本当に百人力ですね。
雄磨さんはいつ頃からえびすやに?

雄磨さん:手伝いとかバイトも含めたら、中学3年生の頃からです。

ーー偉すぎる……正直、嫌だなとか思うことは無かったですか?

雄磨さん:中学生の頃は嫌でした。正月とか友達がお店に遊びに来るんですけど、俺も遊びたいなって(笑)
でも高校に入ってからは、みんなもバイトを始めたし嫌とか思わなくなりましたね。

団子に向きあう真剣な眼差し

ーーなるほど。ちなみに、高校卒業後すぐにお店で働き始めたんですか?

雄磨さん:調理の専門学校に行っていました。戻ってきたのは卒業してからです。

ーーおお!もう即戦力じゃないですか!

眞士さん:そうなんですよ。今は団子を任せてるんですけど、覚えるのも早くて大したもんだなと思います。

ーー団子ってシンプルがゆえに難しそうなのに……

雄磨さん:なんかやってみたらできちゃいました。小さいころから見てたからかもしれないです(笑)

純子さん:本当にすぐに覚えてましたね。

ーー幼いころの記憶って、意外とハッキリ覚えてたりしますもんね。

桜の季節は特等席!

ーーところで、雄磨さんはお店を継ぐことに違和感は無かったんですか?

雄磨さん:無かったですね。他にやりたいことも無かったし、それなら勉強して店を手伝った方がいいだろうなって。

眞士さん:店を手伝って欲しいって、私からもお願いしたんですよ。でも私は継ぐのが嫌でサラリーマンになってたし、大学に行って視野を広げてもらうのも悪くないと思いますし……なかなか言いにくかったですね。

ーーなるほど。確かにそれはなかなか言い出しにくそう……でもこうして来てくれて、しかも即戦力として働いてくれるなんて、本当に心強いですね。

ーこの想いはずっと変わらない

ーーところで、えびすやさんといえば団子!という人も多いと思いますが、皆さんそれぞれのオススメなどあれば教えて欲しいです!

雄磨さん:うーん、エビフライ定食ですね。
知ってる人は知ってるんですけど、うちのエビフライって結構大きいんですよ。

お客さんでも美味しいって言ってくれる人も多くて、まだ食べたことない人にも食べてみて欲しいです。

デカっ…!

ーーえっ、知らなかった…大きいエビフライなんて幸せに決まってる…今度食べに来ますね…!
眞士さんはいかがですか?

眞士さん:やっぱりラーメンかなぁ。スープもチャーシューも毎朝仕込んでます。
神社の前にあるような店って、そこそこの値段でそこそこの味のものしか置いてないって思ってる人が多いと思うので、ちゃんとこだわって作ってるって知ってもらいたいです。

ーーあー…たしかにそんなイメージの店も多いような……

眞士さん:そうだと思います。実際、食べてもらった人に「こんなに美味しいんだ」って言ってもらえることもあって。こだわりが伝われば嬉しいです。

昔ながらのあっさりらーめん。

ーーこれは食べてみないと…!気になる…!
最後に、純子さんのオススメを教えてください!

純子さん:全部オススメしたいけど…お抹茶かな!

ーーこの団子セットのお抹茶ですか?

純子さん:そうです。うちのお団子とか餡子にあうお抹茶をセレクトして、注文をもらってから私たちが点ててるんですよ。飲みなれていない人でも飲みやすい、優しいお抹茶です。

ーーお抹茶にもそんなこだわりがあったなんて知りませんでした。こりゃ一回じゃ食べきれないですね(笑)

眞士さん:あとはやっぱりお団子だよね。えびすやといえばお団子だと思ってます。
一度は食べてみて欲しいです。

ーーお団子ならお土産にもできますしね!食べ過ぎちゃいそう……


団子とお抹茶、セットでどうぞ!

眞士さん:今の時代、大宝八幡宮の近くにあるからってだけでは立ち寄ってもらえないんです。大宝さまにおんぶに抱っこじゃいけない。だから、美味しいものを提供して、少しでもゆっくりしてもらえたらと思っています。
メニューが変わっても、この想いはずっと変わらないです。

純子さん:心配事があってお参りに来た人も、ここで楽しく喋ったら元気になってくれるんじゃ無いかなって。美味しいものを食べて、ゆっくりして、お話しして、心が休まる場所にしたいなと思ってます。

雄磨さん:あとは、同世代の若い人にも来てもらえるようにって考えてます。20年、30年後も通えるお店にしていきたいです。

ーー変わらないもののために、変わり続けていく。『えびすや』さんが変わってきたのは、一貫してお客様のためだったんですね。
長年愛されてきた理由が分かった気がしました!

眞士さん、純子さん、雄磨さん、ありがとうございました!



取材・撮影・執筆:宮澤優輝
編集:纐纈翼
取材月:2023.1


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