茶室に入った時、なんとなく漂う心地良い香りに気付くことがあります。
どこかで嗅いだことのある、懐かしい香り。
昔から知っているような、記憶の奥のほのかな優しさ。
お茶の香りを消さないように、控えめに揺らぐこの香りは「お香」の香りです。
茶室で炭を焚くと、独特の匂いが出ることがあるのですが、これを消すために、炭火の中で香木や練香を焚きます。
実用性を兼ねたこの香りもまた、茶室での楽しみの一つ。
その香木や練香を入れて、茶室に持ち出す道具が香合です。
あの人シャンプー変えたかな、とか、そんな瞬間が日常にもありますよね。
気づくか気づかないかのギリギリの感覚。
そんな繊細なアクセントにも亭主は心を込めています。
僅かでも深く豊かな空間のもてなし。
遠慮がちな気遣いが、茶道の根源にある気がします。
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