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ホモエロ小説書きが自作小説を文庫本にしてみました

サイトやpixiv、Twitterなどからこのnoteを見ていただいている方はご存じかとは思いますが、私、三太はゲイ向けのアダルト小説を学生時代から書き始め、ネットでは前世紀(笑)から、個人サイトで発表してきました。
これまでも推敲朱入れのためや身近な友人に読んでもらうために、小説をプリンタで印刷したことはあったのですが、ここ最近、Twitterで同じような作者さんが製本化のツイートをしておられ、ふと気になって色々調べはじめてみることに。

調べていくうちに、これまで自分が思っていたよりもはるかに安価に書籍化が出来るということを知り、俄然「自分の小説を文庫本にしたい!」という欲求が高まっていきました。
結果、自分のそれまでの想像よりも簡単かつ安くに「ちゃんとした本になった自分の作品を手にすること」が出来てしまいました。
その流れをTwitterで呟いたところ、自分発のつぶやきとしてはかなりのインプレッションもあり、こういう解説的なことを必要とする方も多いのかと経緯をこのnoteにまとめておきます。

あくまでも三太が経験した、しかも一回一冊のみの経験ではありますが、自分でもやってみたい方の少しでも背中を押せたらと。

画像、私の記事にしてはたくさん入れていますが、スクリーンショット撮った時点でかなり荒くなってしまっており、見づらくて申しわけ無いです。


発端

発端はTwitterでフォロイーさんのツイートで自作小説の文庫本化が話題に出たことでした。
「ほう!」と思って、ネットで「小説 製本 文庫本」などと検索をかけてみると、製本にチャレンジされた方達のブログや印刷会社もそれなりにヒット。
ブログを参考に、「少部数 ネット上でのやりとりで完結 なるべく安く」あたりを重視して調べていったところ、次の2箇所の印刷サービスが候補に。

製本直送.com
https://www.seichoku.com/

ちょ古っ都製本工房
https://www.chokotto.jp/

販売や配布はこの時点で考えておらず、とにかく形になって手にしてみたいとの思いから、3部程度の冊数で見積もってみると、どちらもどうやら一冊1000円程度で出来るみたいで、これはやってみようと思えました。

両社のサイトを色々見ていて、こちらから入稿するときのページ設定が分かりやすく解説してあった「製本直送.com」さんでお願いしようと決断。この時点で無料の会員登録をしています。

サイトに載せている小説はおそらく何十万字にもなるかと思うのですが、その中で自分でも思い入れの深い「七日籠もり」という連作作品をまとめてみようと思いました。

中味は完全にR-18作品なので、興味あられる方はサイトでご覧ください。

https://novelssantas.jimdofree.com/


まずは出来上がりを

製本して送られてきた画像がこちら。
とにかく、ちゃんと「文庫本」してました。

3冊製本に用紙見本(同時注文で70円ぐらい)、送料込みで合計3204円。
一冊あたり1000円程度ということで、自分用にはかなりお安いかと。
ちなみに今回利用した「製本直送.com」さんと検討した「ちょ古っ都製本工房」さんはこの部数だとどちらもほぼ同じ料金。この2社さんが他の印刷サービスと比べると、ダントツに安かったと思います。

文字数は82000字ほどで、印刷200頁。標準的な文庫本の厚みに。
ただしこの厚みは後に述べる表紙と本文の紙の選定でかなり変わると思います。今回は厚みのある表紙に同じく厚手の本文用紙のためのこの厚さですが、薄い紙を選ぶことでスリムになるはずです。

作成手順① 入稿前に原稿の体裁を揃える

まずはテキスト流し込んで一太郎文章を作成。
Wordで作成する方がほとんどだとは思いますが、おそらくほぼ同じ機能はあるかと思いますので、適宜読み替えてください。

文書スタイルはA6、縦書き40字17行。ノンブルはフッタ処理で自動入力。
袋とじ位置調整はせず。これは頼んだ印刷会社さんのサイトに「袋とじ調整はしないで」との記入があったため。

フォントは等幅9ポ、HG明朝B。

縦書きのため洋数字を漢数字に検索置換。kgなどを「キロ」「センチ」等に置換。
もともと数字は漢数字にしていた部分が多かったのですが、「kg」「cm」などを変換する前の状態。

各小説タイトルと本文間の行数、タイトルの段落ちを決めて体裁調整。
ページ始まりに行開けが来ないよう、各ページを文頭から目視&最初のページから行開け調整。
ここでは画像の真ん中あたり「宿入りの禊」の前の行を削除したりしました。

その後、一太郎内で表紙、印刷内の本文前ページ(印刷内表紙、目次頁)の作成。
ここは「製本直送.com」さんの指定を反映。
一太郎上の1ページ目が表紙に、2ページ目からが本文内容になります。

目次作成。ページが3桁になるのはオブジェクト枠縦書きで作成対処。
目次ページに一点だけ鳥居のイラストを入れる。

体裁整った時点で一太郎ファイルをPDFファイルに変換。
これには一太郎についていた「JustPDF」というソフトで変換。
ここまでで入稿するファイル(「製本直送.com」ではPDFファイルのみでした)の準備は完成しました。
小説そのものの誤字等の推敲は別として、ここまでほぼ半日ぐらいの作業でやっつけた記憶です。

ここまでで思いついた注意点は……。

①目次で使う3桁以上の数字はちょっと悩んだ←オブジェクト枠内を横書き表示にして配置することで解決
②イラスト入れると後ろの行がずれるので、最初に入れておくべき
③行調整はイラストと入れ終わった後、最後に一番本文の最初から行っていくこと←途中や後ろからやってしまうと二度手間三度手間が生じる

続いて入稿やっていきます。


作成手順② 入稿時のセッティング

ここから先は「製本直送.com」さんの規定に乗ってやっていきました。
「製本直送.com」さんはサイト内の「入稿ガイド」が分かりやすかったため、初めて頼むにはいいかなと判断。

まずその「入稿ガイド」を見て、とにかく早く形にしたかったので2番目の「表紙自動コース」に決定しました。

後はシミュレーターや入稿ガイド見ながら色々決定。
自分の場合、下記の使用で注文することに。

製本仕様
サイズA6
ページ数200
表紙モノクロ&ラミネート加工(マット)(用紙:硬め)
本文モノクロ
本文用紙 書籍用紙【クリーム色】(四六判66.5kg)
無線綴じ、右綴じ、遊び紙無し
お急ぎ印刷等のオプション無し

ここで注意が必要なのは、表紙の用紙と本文用紙の選び方だと思います。
自分は上記で選択しましたが、かっちりとした仕上がりは満足してますが、もしもっとページ数が多い仕上がりを目指した場合は、表紙を柔らかく(薄く)、本文用紙も薄い(軽い)ものを選んでもよかったかなと。

ちなみに選べた本文用紙の種類。けっこうたくさんありました。

*紙ってその「厚み」を一定の分量の「重さ」で表すらしく、この「66.5kg」とかが「軽い」ほど「薄く」なるようです。


実際に表紙と本文の薄さの違いは下の画像を参照されてください。
これは今回の私の小説(200P)と、新潮文庫の420ページのものを比較したものです。厚さがほぼ同じ、ということは両者の紙厚の違いからくるものかと思います。

注意点としては、縦書き本だと「右綴じ」を選んでおかないと、えらいことになるかと思います。横書きの本だと「左綴じ」、縦書きだと「右綴じ」になります。

入稿してから到着まで

入稿してから実際に本が配達されるまでの流れです。
結果、9日間で到着しました。サイトでは「営業日6日以内に発送」と標準的な日数提示がありましたので、ほぼその数値そのままだったかと思います。
料金をプラスすることで若干の配送日の短縮が可能です(おそらくイベントへの対応でギリギリの入稿などに対応する必要からかと思います)。

2021年10月19日火曜の16時過ぎに入稿、すぐにコンビニで入金。確認はほぼリアルタイムでメールが来る。

10月26日火曜15時過ぎに発送完了メール。この時点から佐川の追跡も可。

10月28日、昼前に宅配便にて配達到着。

出来上がりの詳細

届いたのは佐川急便の宅配便。

用紙見本も一緒に頼んで、届いた中味。

同じもので三冊頼んでみました。

背表紙の印刷はありません(頼むコースによるかと思います)。

本文の最初のページ。画像ではてかりがありますが、目視ではまったく気になりませんでした。

目次と一点のみ入れたイラスト。

思い切り開いてみたところ。綴じ分が少し見えてしまいました。

真ん中ぐらいの部分。

分かりづらいかもですが、表紙には薄く溝(本を広げたときの折り点になるような部分)が施してありました。これは事前には分からなかったのですが、嬉しかったです。

表紙はマット加工(てかりを抑えた加工)で依頼しましたが、高級感ある代わりに爪やなぞった後が残ってしまいました。実際に見ないと分かりづらく、画像で見えるといいんですが……。

感想や反省点など

思ってたよりちゃんと文庫本。
天地、小口の裁断滑らか。
薄い溝あり(上にも書いてますが、これは嬉しかった)。
原稿作成時の袋綴調整は、奥をもう少し開けたい場合はやってもいいかも。
漢数字への置換は必須。
背の印字無いのはちょっと悲しい(笑)。
次回は奥付ちゃんと作ろう。
3部作成で一冊あたり1000円ぐらいなら、自己保存用としてはいい感じかと。
表紙のマット加工は高級感はあるけど、爪跡とか残る。
テキストからPDFファイル作成まで、ほぼ一日の力業。

最後に

ばたばたと作ってみましたが、とにかく手元に届いたときの感動や満足感はすごいものがありました。
同人誌を作っておられる絵師さん達の気持ちがほんの少しでしょうけど分かった気分です。
販売などはまったく考えていなかったんですが、在庫や負担の無いPOD(ポストオンデマンド→データを印刷会社に送っておいて、購入される度に印刷製本して購入者に届けるシステムだそうです)には少し興味を持っています。
手数料やらを考えると今回作ったものでも価格として1200円以上を軽く越えてしまうので、通常市販されてる文庫本と考えると割高感は否めないのですが、理解した上で手に取ってもらいたいな、という思いも交錯していたり。
電子書籍全盛ではあると思いますが、「紙のページをくる」楽しさはずっと残っていってほしいなとは思ってます。

2021年10月30日 初稿