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安倍元首相の殺害をめぐる政治

渦中にある件の宗教団体。僕には”吉幾三問題”的な状況になっているとの印象があるが、もしかりに仕掛けた人々がいるとすれば、相当な知能犯。深層が明らかになるのはかなり先のことになるのだろうが、自民党最大派閥が解体過程に入ったことは確かなような気がする。

岸田首相のミッションは、なんちゃって保守=アベ的改憲勢に引導を渡すこと(少なくともそのお膳立てをすること)。先日の選挙の結果、ネクスト・ステージに入った日本国憲法をめぐる攻防。国民投票の可能性が高まった今、真性保守と真性リベラルは、共闘して憲法制定権力を糾合し、国民投票 という天下分け目の闘いに備えなければならない。再来年4月の京都市長選は、その意味において極めて重要。

やや強引な単純化が気にはなるが世界情勢の構造認識としては概ね間違っていない田中宇ニュースだが、安倍暗殺(欧米ではこう表現している)をめぐる分析の切れ味はすこぶる鈍い。今の日本に政治家アベが必要かどうかについては、端的に言って判断を誤っている。

https://tanakanews.com/220710abe.htm

マスメディアの論調よりは正確だし(吉幾三問題的にえば、彼らはウインナー・コーヒーを注文されて、ウインナーとコーヒーを出してしまい、注文した大衆はウインナーとコーヒを美味しくいただいている)。”プレーヤー”ではない彼にインテル情報を踏まえた分析を期待するのはお門違いだということは承知の上だが、三宅洋平、岡本よりたか氏の直近の反応を見て、やはり指摘しておくべきだと感じた。(なお田中宇氏は、最新の有料配信記事でやや軌道修正している)。

田中宇氏は、欧米と中露の橋渡し役として安倍元首相が必要だった、との認識。確かに安倍元首相は、マー・ア・ラゴ(フロリダにあるトランプのオフィス)に出向いていたと言われるし、プーチンからも嫌われていない。しかしそれは、安倍元首相とトランプ、プーチンが、腹を割って話ができる関係にあったことを意味しない。キャッシングディスペンサーとして重宝がられていただけの話である。バイデン政権による欧米自滅策(それはトランプ・習近平・プーチンによってバックアップされている)が進行中だが、多極化の次のステージに進むめには、世界におけるドルの帝国的循環にブレーキをかける必要がある。欧米の中央銀行はQE(量的緩和)終了に向けて動いているが、黒田日銀はアクセルを踏みっぱなし。実質的には破綻しゾンビ化したドル基軸通貨体制を支えているのは目下のところ日銀ということになる。そしてこの日銀の異次元緩和策の継続を後押ししてきたのが安倍元首相であり安保ムラの住人たちである。世界の巨大潮流、ドル基軸・欧米主導の20世紀システムから21世紀の多極的システムへの転換に向けて共同歩調をとるトランプ・習近平・プーチンにとって、これまでは便利な存在であった安倍・日銀だったが、タイミング的にいってドル延命の命綱たる日銀のQE継続はもはや邪魔になりつつある。

日本は欧米と中露の橋渡し役となるべき歴史的な使命を負ってはいるが、その役割を安倍元首相が担いえたとは到底思えない。


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