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参政党

   護憲リベラルは、今回、大きな失態を演じた。ワクチン問題。ワクチンについては未だ不明なことが多いが、リベラル勢は、人々の健康に重大な影響を及ぼすワクチンについての国民の声に出せない懸念、不安を読み間違えたように思う。彼らは、ワクチンについて重大な疑義が内外の科学者コミュニティーから発せられていたにもかかわらず、菅政権、河野太郎ワクチン担当大臣の敷いた路線から一歩も出ることなく、多くの市民から出されていた疑義を素通りし、政府・マスメディアの言うままに行動した。その結果、ワクチンをめぐる人々の不安な思いが募るなか、エース級のワクチン懐疑論者を揃えた参政党に票を持っていかれることになった。少なからぬ人々、とりわけ若い世代や子どものいる親たちが抱える深刻な不安に対して、せめて寄り添う姿勢を示しつつ、政府に対してワクチン・ハラスメントへの対策とインフォームドコンセントの徹底を要求し、これを政策に掲げていれば、リベラル勢は現在のような惨状を呈することはなかったと思う。

 護憲リベラルの中には、未だにワクチンについて全く疑いを持たない人さえいる。今回、参政党がどこまで票を伸ばすかわからないが、れいわ新選組立ち上げの時と類似の現象が起きていることは間違いなく、コロナ・ワクチン問題は、それほどまでに深刻で大きな影響をもつ政治的イッシューになっている。科学的なことはわからない、とこれを専門家の判断に委ねておけば、事態はさらに悪化するだろう。「しょせん日本の政権与党はその程度のもの、いまさら・・・」ということで自公へのダメージはそれほど大きくない一方で、これだけ大きな問題をしっかり追求しない既存の野党はどうなっているのだ、との怒りの声はどんどん大きくなってゆくだろう。どこまでのことがわかっていて、どこまでのことがわかっていないのか、コロナ・ワクチンをめぐるこの間世界各地で起こっていることがどのようなことであるのか、欧米マスメディアのみに偏ることなく、BRICSはじめ世界各国のメディアが何をどう報じているか、諸々をしっかり調査研究し、早急に政策化することが必要だ。

 護憲リベラルが、市民と手を携えて、先日、赤磐市議会で採択された請願のような運動を起こしてゆけば、参政党に流れた人々の思いを取り戻すことができる。それに失敗すれば、おそらく改憲が現実のものとなるだろう。参政党の支持者は、少なくとも主観的には自公や維新と自分たちは明確に異なると考えている。しかし問題は、日本をこれまでくい物にしてきた勢力が、参政党に何をさせたいのか、である。日本が対露対中強硬路線を突っ走り、なんとか戦争にまで持っていって、疲弊した日本を従属させ収奪することが彼ら背後者の基本ミッションである。今回のウクライナ紛争に至る経緯は、戦争屋の傀儡政権によって国民・市民がどのような被害を被るかを明瞭に物語っている(ウクライナでの戦争犯罪を裁く法廷がロシアでまもなく始まる。動かぬ証拠とともに様々なことが暴露されるだろう)。日本のウクライナ化は、ほんの数歩先にある現実である。インテリジェンスを欠落させたままの9条改憲、軍拡は、日本のウクライナ化を招き寄せるだろう。

 国際政治のラスボスは、自分を批判させる手下を野に放ち、敵対勢力の懐深く侵入し、ここぞという時に敵を内部から崩壊させるのが常套手段である。近現代日本の民族主義者は、こうして潰されるか、”売国奴”へと転落していった。内外の情勢認識の正確さでは、参政党の松田学氏は群を抜いており、元財務官僚だけあって人の扱いもそつが無い。同党の理念については、神谷宗幣がわかりやすく表現しているし、彼自身は純粋にその理念に殉じるつもりなのだろう。同党のブレーンにはしかるべき見識を持った人もいる。しかし、そうした彼らといえども、ラスボスの力は強大であり、これにどこまで耐えられるのかはまったく未知数である。少なくともこれまでの政治の歴史は、信じていた政治家に裏切られるというのがお決まりで、”This time different”だという保障は残念ながらどこにもない。

 他方、護憲リベラルは、選択肢が与えられなかった一般の参政党支持者・投票者を陰謀論者やカルト呼ばわりすることはやめた方が良い。彼らは概して平均以上の情報リテラシーを有しており、●日新聞や●旗の情報だけでは残念ながら説得できない。むしろこれまでの自分達の取り組みの至らなさを素直に詫びた上で、コロナ・ワクチンについて、JCP市議団も賛成した赤磐市議会採択の請願で示された市民の声を受け止め、それを支持・支援する立場であることを謙虚に語りかければ、彼らはもともと平和主義者で改憲についても慎重な人も少なくないのだから、十分に耳を傾けてくれるだろう。

 護憲リベラルは、コロナ・ワクチン、そしてウクライナ紛争を通じて失った信頼を回復できるのか。存亡の危機に立っているのは社民党だけではない。

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