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算数力で「読解」も「心情理解」もできる話

割引あり

算数で用いる思考力は生活の中で毎日利用され、物事を10倍も20倍もスムーズに進めるのに役立っていると「実感」しています。世の中が賢く動くために、算数の利点がもっと気付かれれば良いと思っています。例として「算数力によって他人の言動を理解する」話をします。
※相手を知るには、論理よりも感情が大事ではないかと思われるかも知れませんが、今話題にしているのは「共感」ではなく「理解」です。国語の読解においても「共感」で解く人はムラがありますが「理解」で解ける人は頗る安定しています。



【①整理】思考や状況の整理ができる

算数側の例として、桜蔭中の入試問題です。

A, Bの2人がそれぞれ1つずつのさいころを同時にふって,出た目によって勝敗を決め得点をつけるゲームをします。
<勝敗について>
・さいころの目は「1」,「素数」,「1でも素数でもない数」の順に強いとし、強い目を出した方が勝ちとします。ただし「6」は「1」には勝つとします。
・2つとも同じ目の数が出たときはあいことします。
・あいこでなく,2つとも「素数」か,2つとも「1でも素数でもない数」が出たときは大きい数の方を勝ちとします。
<得点について>
・はじめは2人とも0点とします。
・1回ふって勝敗が決まったときは,勝った方が1点,負けた方が0点とします。
 あいこのときは点はありません。
・あいこだった次に勝敗が決まったときは,あいこだった同じ目の数を勝った方の点とします。あいこが続いたときも,その次に勝敗が決まったらあいこになった同じ目の数を足して勝った方の点とします。どちらのときも,負けた方は0点とします。
(1) 2回ふってAが3点を得るとき,AとBの目の出方の組は全部で何通りあるか求めなさい。

桜蔭中 2023年 抜粋

めちゃくちゃ複雑な設定ですが、簡単に解けます。要するに2回目にAが勝つ場合の数を求めればよく、全体は「A勝ち+B勝ち+あいこ」の3つなので、A勝ち=(36−6)÷2=15通りと求まります。具体的に目を書き出す必要はありません。

→複雑な現実世界ではさらに必要な能力です。「なるほど。(なんかごちゃごちゃ言っていたけどまとめると)今のやり方で大丈夫なのか不安な上に、体力的な問題と人間関係の問題の二つがあるということですね」と状況を整理する力です。ビジネスやコンサルティングにおいても「重複せず全体を分ける」ことをMECEと言い、取り得る行動を整理して会議を進めたりします。「場合の数」です。

【②調査】情報収集の効率が良い

100コの箱が横1列にならんで置かれていて、それぞれの箱の中には1枚ずつ紙が入っています。
 このうち「あたり」と書かれている紙が入っている箱は1コだけで、その箱の右側にならべられた箱の中にはすべて「あたりは左」と書かれた紙が、左側にならべられた箱の中にはすべて「あたりは右」と書かれた紙が、それぞれ入っています。
 100コの中から必ず「あたり」の紙を取り出すまでには、何コの箱をあければよいでしょうか。

『算数オリンピックが贈る「明日への算数」』より

いわゆる二分探索についての問題です。真ん中を引いていけば最多でも7コをあければあたりに辿り着けます。最も情報が多く取れる点を見つける感覚が必要です。

→現実世界でも、状態や思考を探索する方法として「質問」をすることがあります。この際、一つの質問で多くの情報が得られれば「物分かりの良い人」「話が早い人」ということになります。「一番長くて何時間かかりますか?」「何かスポーツやってましたよね?」と条件を追加することで、様子がどんどん明確になります。「アキネイター」というゲームに似ていますね。お笑い芸人のモグライダーさんのコントでも話題になっていました。

【③推理】相手の思考や状況が読める

これが最も算数力を「実感」する部分です。

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