【算数】中学入試に「二次関数」が出現!どう対応する?
【そもそも】平方数って2次式ですよね
中学入試の算数では「○回かけ合わせた数」がよく扱われます。一方、「○回かけ合わせると○になる数」や「○回わった数」はあまり扱われません。つまり、中学以降で扱う$${\hbox{$N^{2}$}}$$は頻出、$${\hbox{$N^{-2}$}}$$や$${\hbox{$N^{\frac 1 2}$}}$$は僅少ということです。
時に、変数を2回以上かけ合わせるということは、2次式や2次方程式を扱うということです。よって、式の展開、連立方程式、因数分解、平方完成などの技術でも解が求まりますが、中学入試においてはそれらの道具はナシだとほぼ確定しているので、むしろ考えやすい場合もあります。さて問題。
【問題】どう見ても2次関数。反則じゃん。
一見、よくある問題です。「箱に入れる」のが「函数」のイメージそのもの。先に(3)からお見せします。
【解説(3)】どう見ても逆関数です。
5←【C】←25←【A】←75←【B】←70 以上。3年生でも解けます。
【解説(2)】普通の中学生バージョン
世界中の大多数の人は、次のように解くでしょう。
$${\hbox{$3^{3}$}}$$$${x}$$=$${\hbox{$x^{2}$}}$$+10$${x}$$+30
$${\hbox{$x^{2}$}}$$-17$${x}$$+30=0
($${x}$$-2)($${x}$$-15)=0
$${x}$$=2,15
【解説(2)】普通の受験生バージョン
日本中の大多数の受験生は、次のように解くでしょう。
□×3×3×3=(□+5)×(□+5)+5
□が1のとき、1×27=(1+5)×(1+5)+5 …✗
□が2のとき、2×27=(2+5)×(2+5)+5 …○
□が3のとき、3×27=(3+5)×(3+5)+5 …✗
(答えは2つなので、□が15のときまで続けて当てる)
よって、2と15。
これでも効率良く調べれば、1,2分で解けます。27の倍数から5を引いた数が平方数になれば良いのですから、次々に27を足してみるだけです。本番の動きとしては調べるのがベストでしょう。
【解説(2)】x²の消失イリュージョン
いろいろ考えて、$${\hbox{$x^{2}$}}$$を消去する方法を捻り出しました。
「ある数」を①として立式、視覚化してみます。複数の種類の数が登場するかけ算なので、面積図を採用。
なんでこんな図を書こうと思うのか?「どこかとどこかがいつの間にか繋がって、何か起こるかも知れないし、何も無いかも知れない」からです。ぷよぷよを適当に積んでるのと同じ。ではくっつけてみましょう。
大きさの差を考えるので、完全に重なった部分は無視できます。左上と右下のはみ出し部分に情報を集約しました。なんか算数っぽい!
不明な情報をどんどん右端に追いやっています。
【①×□=30】…ア という長方形ができました。これで□が分かれば①も判明しますね。□についての情報ないかな…
【①+5+5+□=27】…イ ありました。
アとイをまとめると、【①×□=30、①+□=17】です。2数の積と和が分かりました。30=1×30=2×15=3×10=5×6より、和が17になる2と15が答え。
最後は結局「たすきがけ」で因数分解していますね。
【感想戦】なぜ溶けた???
はて、$${\hbox{$x^{2}$}}$$は一体どこに消えたのでしょうか?もちろん、2つの長方形が重なった①×①の部分です。でも、27>$${x}$$でないと成り立たないし、見たことない解き方だし、なんかたまたまできちゃったのでは?
・・・いいえ、きちんと題意に適する図を描いています。というかむしろ、「図が描けたということは、大小関係が正しいはず」です。式の各項の大小関係を追うと分かることが、図を描いたらごく自然に見えたということです。
この解法は自分も驚きです。$${\hbox{$x^{2}$}}$$<27xとなることなど図なくしては気づきません。図示の強力さ、手を動かしてみることの大切さが分かってもらえれば良いのですが、しかしまあ算数では目に見える「正の数」しか扱わないのでこれほどきれいに表現できるのでしょうね。
2023年9月30日
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