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【逆算】4年生で解ける入試「コラッツの問題」

逆算は論理的な思考そのものである

 「逆算」は、小学校では「□を使った計算」などとも呼ばれます。中学以降で学ぶ「移項」の方が、暗記で済ませたい人には親しみやすいでしょうが、逆算の本質は計算方法というよりも、思考法としてたいへん重要です。
 逆算の思考とは「結果から原因へ遡って考える」ということです。例えば他人の発言から心情を察するとか、実験から法則を導き出すとか、未来のために今頑張ることなども、逆算の思考そのものです。いかにも人間の脳ならではの思考ですが、大人でもこの能力が充分な人は少ないでしょう。逆算から逃げてはいけない
 それでは問題です。



多くの入試で頻繁に見る問題ですが、逆算を学んでいれば4年生でも解けます。通称「3n+1問題」「コラッツの問題」などと呼ばれる問題です。(Wikipediaの記事)

【問題1】コラッツ問題そのまんま

1より大きい整数Nについて以下の操作を考えます。
 ・Nが偶数のときNを2でわる
 ・Nが奇数のときNを3倍して1をたす
この操作を1ステップとし、整数が1になるまでこのステップをくり返します。例えば、5は 5→16→8→4→2→1 となるので、5ステップで1になります。
7ステップで1になる整数をすべて答えなさい。

駒場東邦中 2023年

【解説】まずは書き出してみましょう。

ポイントは一つだけ。「最後が1になるんだから、その前は…」と時間を巻き戻す発想が出れば終わりです。やってみましょう。

左から右に、巻き戻して考える

・最後が1になるので、「□÷2=1」となるか、「□×3+1=1」となるかの2択です。前者を逆算すると、□=1×2=2。後者の逆算は、□=(1−1)÷3=0。「1より大きい整数」と決められているので、0は却下。1の前は2しかありません。
・2になるための逆算は、2×2=4か、(2−1)÷3=$${\frac{1}{3}}$$の2つです。Nは整数と決められているので、分数は却下。2の前は4しかありません。
・4の前は、4×2=8、もしくは(4−1)÷3=1。整数が1になったらこのステップは終了なので、1は最後の1回以外に登場しません。4の前は8しかない。
・8の前は、8×2=16、(8−1)÷3=$${\frac{7}{3}}$$。整数は16しかない。
・16の前は、16×2=32、(16−1)÷3=5。ここでようやく分岐しました。
同様に逆算を繰り返すと、7ステップ前は、128、21、20、3と求まります。意外とカンタン!

【問題2】コラッツ問題そのまんま2

(同じ設定のため、前略)
12回の操作で1になる整数は全部で□個あります。

慶應義塾中等部 2021年

【解説】まずは書き出してみましょう…?

同じ設定ですので、同じ方法で求まります。10個です。

あまりに注目して工夫してもよいですが、かなりの能力が無ければ危険です。慶應中等部の入試はいつも、このような「書き出すのか工夫するのか迷う問題」が印象的です(入試では迷ったら書いた方が良いと思いますが)。

【問題3】コラッツ問題そのまんま3

2023年の大宮開成中でも出題されています。大人気ですね。


さらに、ちょっと設定を変えた入試問題もかなりよく見ます。また、通称「コラッツ予想」という数学の未解決問題も派生しますので、プログラミングなどを学んでいる子どもに遊んでもらうと数学の発展につながるかも知れませんね。

逆算から逃げてはいけない。
2023年10月8日

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