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【算数】そういえば、柱体って斜めじゃダメなの?

中学受験の算数において、立体図形もなかなかの曲者だと思います。基本的には「柱体」「錐体」の2種のみで対応し、錐体から錐体を切り取った「錐台」などの体積を求めたりします。
ところで算数において「柱体」というと、無条件で「直柱体」を指し、「斜柱体」の体積の求め方を教えません。「底面に対して垂直に伸びる柱体」しか扱わないということです。錐体だって斜めなのに。これはちょうど、長方形や三角形を学んで平行四辺形を学ばないようなものです。
結論としては、直柱体と同様に体積を求められます。ちょっと使ってみましょう。


【問題】きみって多面性がある立体だね。

問:下の図の、直方体ABCD-EFGHの内部にある立体ADI-JKGの体積を求めてください。

算数PLAYオリジナル問題
面は全て平面です。

【解説】外から見たり、中から見たり。

とりあえず、6つほど解法を書いてみます。この記事の主旨は方法⑤です

【方法①】全体から引く。

直方体から、2つの平面を切断して残った形として見ることができます。
(全体)−(上の立体)−(下の立体)
=(直方体ABCD-EFGH)−(三角柱ABJ-DCK)−(全体の半分)
=(4×5×12)−(5×9÷2×4)−(4×5×12÷2)
=240−90−120=30㎤

3つの立体の体積を求める必要がありますが、最も基本的な考え方でしょう。下の図形は、直方体を対角線で切断すると体積が半分になることを利用できると簡単。


【方法②】分けて足す。

求める立体を分割して、複合図形として見ることができます。

(四角錐J-DKGI)+(三角錐J-ADI)
=(底面DKGI×高さJK÷3)+(底面ADI×高さHG÷3)
=(3×5×4÷3)+(4×3÷2×5÷3)=30㎤

2つの立体を求めるだけで済んでいます。方法①と合わせて基本的な考え方ですが、もともと決まっている形を分割して、面積や体積が求められる都合の良い形を選び抜く作業はハイレベルでしょう。


【方法③】全体との比で求める。

元の直方体の側面を支える4つの辺の長さがそれぞれ割り引かれた形として見ることができます。辺の長さは0、0、3、3cmになっています。この高さの比がそのまま体積の比となります。
(4×5×12)÷(12×4)×(0+0+3+3)=30㎤

高さの合計の比でもよいし、平均の比でもよいでしょう。次の方法③と捉え方自体は同じです。

問題の図形をもう一度。

【方法④】底面をABCDとして求める。

直方体を切断しているので、底面をABCDとした「断頭四角柱」として見ることができます。細かい説明は省きますが、(体積)=(底面積)×(高さの平均)となります。
4×5×(0+3)÷2=30㎤

他の図形を用いずに直接求められますが、2回切断して斜めになっている上、0cmがあるので見抜くレベルは高めです。平面図形で言えば、平行線に挟まれた台形の面積が上底と下底の平均と高さの積で求まるのと同じです。


【方法⑤】底面をADIとして求める。

求める立体を斜柱体として見ることができます。面ADIに対して平行かつ合同な面JKGがあるので、底面がADIで高さがABの柱体です。
4×3÷2×5=30㎤

斜柱体の体積は、直柱体と全く同じように「底面積×高さ」で求められます。これも他の図形を経由する必要がない上に、理解も全く難しくなく、リターンの良い知識です。

問題の図形をもう一度(二度目)。

【方法⑥】底面をDKGIとして求める。

底面がDKGIで、高さがADの四角柱の体積が求まります。その半分が求める立体です。
3×5×4÷2=30㎤

簡単な方法に見えますが、よく考えると「なぜ半分になるのか」については直柱体の知識だけでは説明できないと思います。様々な理解が重なって、感覚的に正しいと分かるようになります。


全体との関係から求めたり、部分から広げたり、部分と部分の関係を使ったり…パズルとはそういうものですので、パターンで処理できるものはして、別のプランも用意はしておくという認識を持って学習しましょう。

2024年8月4日

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