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驚きの先にあるものは
子どもの山村留学で十勝の村 中札内に短期移住しているわが家。
2年目になり、ああこれね、と思う瞬間が多い。
去年は新鮮な驚きで感動し受け止めていたことを
あるよねレベルにして受け止める
例えば
あっという間にわーと辺り一面咲くたんぽぽ
5月の終わりからキリキリと鳴き出すエゾハルゼミ
10本まとめ売りの春堀りゴボウのインパクト
いちめんの霧に包まれた幻想的な景色
何回経験しても印象深いんだけど
なぜか2年目になると
ああ今年も来たねと
なんだかゆったりとした気分で受け入れちゃっている自分がいる。
去年、一つ一つにうわーって思って興奮したのは
今まで知らなかった世界を知れたからだ。
こんな世界もあったんだなと。
そんな世界で今2年目を過ごしている。
都会民にとって驚きの事柄を
いつのまにか、ああそうだよね、と受け止め、
じんわりと味わっている。
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あっという間に一面の綿毛
特別なことが当たり前のことに変わっていく
自分の中のそんな変化を
少しざらついた気持ちで受け止める。
当たり前すぎて感謝できない
ということが世の中には結構あると思うが
当たり前じゃないんだ!
と強く思うことで解決するかというと、そうじゃない。
現に私は
来年もここにいるかわからない、たぶん今年が最後かも知れないのに
今年の一つ一つの景色が、去年と同じには心に焼きついていない気がして、もどかしい。
でも、それが2年目ということなんじゃないかと思う。
人間は体験したことのないことにドキドキワクワクするもので
それは本能のようなものだと思う。
新しい環境に飛び込んだり
新しいチャレンジをしたり
やったことのないこと行ったことのない場所
そんな新しい体験があればあるほど、人生はワクワクドキドキするものになるだろう。
そして、その体験が自分の一部になったとき
驚きは当たり前に変わってゆく。
一面に広がる畑に今年もあっという間に植っていった作物たちが、最近はぐんぐんと背を伸ばしている。
2年目の今は
小麦、じゃがいも、とうもろこし、と
畑を見るだけで何が育っているかも判別できるようになった。
マックスバリュへ続く道にはじゃがいもの花が今年もキレイに咲いて
もうこの季節がやってきたか、と季節を感じるこの頃。
気づくと牧草が刈り取られ、牧草ロールが転がっていた。
酪農家さんは、この牧草の匂いに季節を感じるのだとか。春が終わり、いよいよ夏がやってくる。
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今年わたしがドキドキしたこと
それでも今年初めて出会った驚きもある。
去年もあったかもしれないが、見えてなかったかもしれないこと
そんなふうに出会った2年目の春のちいさな驚きを記録しておく。
①大きい鯉のぼり
5月、こどもの日。
こちらでは立派な鯉のぼりをあげているお宅をちらほら見かけた。
戸建てが多いからか、立派なサイズで名入れされた鯉のぼりが主流のよう。
うちにも、竿に設置するタイプの鯉のぼりがある。
息子の出産祝いにいただいたもので、マンション暮らしの日々では、落下が怖くて結局ベランダにも飾れずだったが、戸建ては飾れるもんね。
と思っていたら、帯広から帰る道すがらに目を疑う光景に出会う。
運転中、なんか向こうのほうに鯉のぼり…と思って進んでみると、
なんと
クレーン車に吊り下がった鯉のぼり出現。
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道を走っていて向こうのほうに見えていたのだが、
この高さで上がってたらそりゃあどこよりも目立つ。
たぶん建設会社のお宅なのか、スケールがでかい。なんとも北海道らしく、どこにも負けないぞ!という気合いを感じる鯉のぼり。
②さあ、農業
中札内村は農業がさかん。
冬の沈黙を破り、春になるとどこの畑も忙しそうにトラクターが動き回り、道道にも朝からゴーっという音を立ててさっそうと走るトラクターがいる。
そんな春、マックスバリュのレジ横のお菓子売り場に、農作業応援、と書かれたのぼりが上がってるのを発見。見るとそこには「農作業応援」特設コーナーが出来上がり、ずらりお菓子が並んでいる。
わお。農作業が、みんなの行事的に存在。
「農家さんもいる」
じゃなくて
「ほとんど農家のところに自分が迷い込んでいる」。
農業の村に住んでいる、ということを改めて実感した瞬間だった。
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農作業のお供のお菓子がずらり並ぶ
③毒はすぐそこ
5月の課外活動で参加した、山菜採り。
コゴミや行者ニンニクなど、河岸に生える山菜を採って、天ぷらや卵とじにして食べるという催しだ。
山菜に詳しい方のレクチャーのもと、皆で草むらに分け入って山菜を探す。
見分け方を教えてもらい、子どもたちもたくさん採った。
熊の出没にも注意して活動するが、
その中で、その辺に生えてるから触らないようにと注意があったのが、イラクサとトリカブト。
イラクサはちくちくするかららしいんだけど、え、
トリカブト?
トリカブトといえば、日本の三大毒の一つ。心臓麻痺で死に至る、毒殺にも使われたという猛毒だ。
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これがエゾトリカブト、と言われ、まじまじと見る。周りを見回すと、そこら中にも生えている。
こういう、わりと生命にかかわる毒がわりと普通に存在するのが十勝。
そもそも毒草だけでなく、熊やスズメバチ、マダニなど、生命を脅かす脅威はそこら中に潜んでいる。
それを知り、受け止めて、生きている人々はたくましい。
自然と遠く切り離された都会ではあまり感じることのない、生命の頼りなさ。いつ何があってもおかしくない中を、今日も生きていっている、という実感ができる世界。
そういえば子どもの頃、彼岸花がこわかった。彼岸花には毒があると聞いて以来、近寄れず、その赤い色の花を遠巻きに眺めていたことをなぜかふと思い出した。
子どもたちはトリカブトの群生地の中をずんずん歩いてゆく。わたしも続いて、ずんずん歩く。
自然に近い暮らしは知恵が必要だ。
自分で考えて判断できる力を学ぶ子どもたち。
そしてそれを教えてくれるなんともかっこいい大人の方々に感謝。
ちなみにその後、自宅の庭でトリカブト?らしき葉っぱを発見したけど、
夫に聞いたらヨモギだよ とのこと。
生き抜く力をつけるのはなかなか難しいなぁと実感中。
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