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「全員参加型」田舎の運動会がめちゃくちゃ楽しかったという話。
山村留学で、北海道の田舎に短期移住中のわが家。
子供達2人は、全校生徒20人の小規模小学校で学ぶ。
その運動会が楽しすぎた
子供が?いや子供も、大人も。
40年以上生きてきて、一番楽しかったかも知れない運動会を紹介したい。
田舎の運動会
こちらの運動会は、地域とともにある。
保護者であるわれわれ親だけでなく、地域の方にも来てもらう運動会。
運動会だけでなく、学校行事には地域の方もどうぞ、という文化があるようだ。
道を歩けば声をかけてもらえたりと、地域ぐるみで見守られていることを感じ、つながりは強い。
なにかと天気が心配な運動会だが、開催当日は、朝6時半に開催を知らせる花火が上がるという。
「朝から花火」なんて発想がなかったので興味津々。
お知らせのメーリングリストとかそういう類のものではなく、花火とは。
アナログ形式なのに、いきなり規模がでかい。
実際には、朝トイレから出た途端にババババ!と突然、低くて鈍い音が鳴り響いた。
なんの音だろうときょろきょろして、
数分後に、あ、これが花火だったのねと思い至る。
雨天により当初予定の土曜日から延期となり、後がない日曜日の朝。
無事に開催を知らせる花火が上がり、急いで準備に取り掛かる。
保護者はお客様ではなく、参加は準備から始まり、来賓の椅子や用具出しなど、一緒に準備を行った。
小規模校ならではの工夫
全校生徒20人のため、児童の競技や演舞は1〜6年生まで全員でやる。
開会式から始まって、ラジオ体操、エール交換、玉入れ、大玉転がし、リレーなどなど
常にわが子の出番で、目が離せず忙しい。
2年生の息子と5年生の娘はおなじく白組。
同じ種目に2人ともが登場、チームとして力を合わせるというのはなかなか見応えがある。
特にリレーが面白かった。
全校生徒での紅白対抗リレーは運動会の見せ場。だが、盛り上げるためには采配が難しい。
全校生徒20名、その内訳は、1年生3人・2年生1人・3年生4人…といった具合に各学年の人数が一定ではない上、個人の体力もバラバラ。
そこをうまく均衡するように、紅白にチームを分ける。
かつ兄弟は一緒の組になるような配慮もあったりして、何度もメンバーの調整を行ったのだとか。先生方の工夫には頭が下がる。
おかげで見ている方はずいぶん楽しませてもらった。抜かれたら巻き返す、なかなか勝負のつかないリレーはハラハラドキドキ。
全く込み合わない観客席で、手に汗握る勝負の応援を楽しんだ。
その他、梯子に箱を載せて運ぶという新競技でも、全校生徒による紅白対抗の熱い戦いが繰り広げられていた。
学年を超えて2人1組、息を合わせての競技は、それぞれ休み時間に自主練するなどしてとても頑張ったらしい。
体感する”豊かさ”は、工夫、失敗、考えることを通して、自分の意思のある時間を過ごすことで生まれるのではと思う。
教育課程の「めあて」をただなぞるのではない、感動や悔しさや自信やなんやかんやがギュッと詰まった、全てを体験できる濃い運動会。
そしてそれを見事に学習と両立していただけていることに感謝する。
みんなが出番
事前にもらったプログラムを見たとき驚いた。
一般部門、祖父母部門、中高生部門、幼児部門、などと、児童以外が出る種目が目白押し。児童とそれ以外が半々か?というくらい保護者や家族の出番は多い。
ただの小学生のスポーツ披露の会ではなくて
来た人全員が楽しく体を動かすことのできる運動会になっている。
私たちも一般部門に参加。
わたしは60m走、夫は100m走。
参加する人々は本気の走り、子供達も親の走りっぷりを応援してくれる。それならと、息を切らして疾走してみると、これは楽しい。
ハアハア言ってたらハイとサランラップを一本渡された。
なんと参加賞がもらえるらしい。
賞品にも工夫があり、別の競技ではボックスティッシュ、また別の競技ではジップロックが配られた。「ちょっといい実用品」というのが、嬉しいポイントだ。
わが家は前述の徒競走のほか、夫婦とも障害物競走にも出場し、サランラップ2本、ジップロック2本を獲得。家計にやさしい運動会。
お菓子めがけて
パン食い競争、なんてマンガの世界だけかと思っていたけど、リアルに実施されているのを初めて見る。
中高生部門の競技種目がパン食い競争だった。
竹竿にぶら下がった紐に、洗濯バサミが取り付けられ、お菓子が吊るされる。
お菓子に向かって全力ダッシュし、引きちぎるようにして掴みとる。
マンガのように、ぶら下がったアンパンにかじりつくわけではなかったが、
お菓子のぶら下がる竿めがけて走る人々をみるのもなかなか面白い。
中高生では人数が足りず、幼児や一般も走っていた。
お菓子をつかみ取る人たちは、老若男女みな笑顔。
祖父母世代にも、キツくない競技が用意されている。くじ引きでお玉を選んで、ボールをのせて運ぶというしぶい競技。
祖父母世代はみなスマートにボールを運び、賞品をもらって去っていく。
古くて新しい体験を経て
観ているだけ、ではなくて自分もやる。本気でやる。
そんな「みんなで運動する」運動会が楽しい。
昔は、会社でも運動会があったと聞く。新入社員時代に、「かつての話」として聞いた時は、ええ??と思ったものだが、濃い運動会を体験してみた今は「きっと楽しかったんだろうな」とさえ思える。
今のように、運動会がただの学校行事になり、それもスポーツの時間と割り切られてこなされてしまっているのはとても寂しいことなのかも知れない。
地域密着型、古き良き運動会が逆に新しい。
ちなみに、ここに山村留学に来る前に子供たちが通っていた都会の学校では、昨年、「各学年の種目は、競技か演技のどちらかで、隔年交代にする」ことが決まった。練習に当てる時間と学習時間との兼ね合いが理由らしい。
子供の出番は、徒競走+競技または演技のみ。
1学年が180人近くいる大規模校ゆえ、練習もそれなりに大規模になる。
そこに時間がかかりすぎる…、ということに一定の理解はできるのだが
”今年の運動会には玉入れをやって、よさこいも踊って…”、みたいなことはもう起こらない。
参加すればするほど楽しい運動会を経験してしまった大人として、そんな都会の運動会を想像したとき胸はざわつく。
それでいいのか。
そして、わたしたちは、そこにまた戻れるだろうか。
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