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ざっくり絵的に振り返る2022年の国会

分散表現の技法を使って、令和4年(2022年)の国会をざっくり振り返ります。

国会議事録データの取得と加工

まずはじめに、国会会議録検索システムAPIを利用して2022年の国会議事録を全て取得しました。1年間の総発言数は12万件以上でした。
これを、同一会議での連続した5発言=1セットとしてまとめて、それを文書分散表現という手法を応用して「似ている内容同士は近くに、異なる内容は遠くに」という形で2次元の概念空間上にマッピングしました。
母集団の簡易集計結果とマップのウェブアプリ版については記事末尾の付録に載せていますので、あわせてご確認ください。

2022年の国会議事録の概念マップ

2022年国会議事録マップツリー

こちらが2022年の国会議事録のマッピング結果です。筆者の好みで木に模したデザインになっていますが、ラベリングした単語がその箇所の代表的な話題を示し、そして赤い箇所は特に議論が多く集中していた箇所です。

2022年の国会の振り返り

ラベルを見渡すと、物価上昇への対応、医療/感染(主に新型コロナ対策)、NHK電力価格・省エネ地震/被災への対応、農業政策学校教員の問題、そしてロシア・北朝鮮・中国との防衛・外交政策などが活発に議論されていたようです。また、アダルトビデオ(AV新法)、侮辱罪消費者契約法に関しても議論がありました。
新型コロナ対策に関する議論もまだ目立ちますが、物価高への対応を中心に外交やエネルギー政策などが幅広く議論されていたようです。
個人的には、少子化対策のトピックが目立ってきてほしかったところですが、岸田首相も「異次元の少子化対策」と言ってますので、それは本年に期待しましょう。

政党別の振り返り

次は政党別に分布を切り替えてみていきます。

自由民主党

自民党は政権与党なので全体像とほぼ変わらない分布です。

令和4年の自民党の発言マップ

立憲民主党

立憲民主党はロシアなど外交問題、秘書/選挙、物価対策の議論に集中していました。「秘書/選挙」とラベリングした周辺はいわゆる「政治とカネ」の話題が中心で、野党第1党として追求に特に力を入れていたことがわかります。

令和4年の立憲民主党の発言マップ

日本維新の会

維新の会は台湾問題(対中政策含む)と、物価上昇対策など、全体像で中心的な話題だった箇所に腰を据えて議論をしていたようです。内容をぱっと見た範囲では、建設的な発言が多く見られました。

令和4年の日本維新の会の発言マップ

公明党

公明党はマップ下方に集中しています。脱炭素、観光(地方創生など)、地震や盛土といった建設土木事業関連の箇所で積極的な議論を行なっていたようです。発言数は多いのですが建設土木系の箇所に偏りがあるのは興味深いですね。

令和4年の公明党の発言マップ

日本共産党

共産党は、議論が散発的に行われていたように見受けられます。その意味で公明党とは対照的です。防衛の箇所では、自衛隊の敵基地攻撃能力などの議論には積極的ですが、一方で対ロシア・中国の外交の箇所などは慎重な姿勢が垣間見えます。

令和4年の共産党の発言マップ

国民民主党

国民民主党は物価上昇対策とその周辺が議論の中心になっています。主に経済政策を通じて国力を高めていく、という意図を感じます。党としての戦略的な方針がわかりやすくて良いと思いました。

令和4年の国民民主党の発言マップ

れいわ新選組

れいわ新選組はこのマップだと焦点がわかりづらいので補足しますが、税金や予算に関する議論と、障害者支援に関する議論がメインでした。税金等については感情的すぎて建設的でない発言が目立っており、一方で障害者支援については具体的な議論が展開されていたので、個人的には後者に注力してくれたらと思います。

令和4年のれいわ新選組の発言マップ

NHK党

NHK党は、例のドバイ在住の方の話題ばかりだったので意外でしたが、一応ちゃんとNHKについて議論してました。浜田聡議員が頑張ってるようです。

令和4年のNHK党の発言マップ

まとめ

さて、令和4年(2022年)の国会について絵的に振り返ってみました。
新型コロナ対策に関する議論が少し落ち着いて、物価高への対応やロシア等との外交問題、農業政策、省エネ、学校教員、NHK、諸々の法整備が主要な議題となっていたようです。また、各政党の方向性もそれぞれ特色がみられました。
個人的には、今年は少子化対策がもっと目立ってくれることを期待します。

付録

1:分析対象議事録の集計結果

今回の分析は国会会議録検索システムAPIを使って2022年1月1日から12月31日までの全発言データ122,850件を取得しました。その簡易集計結果を下記に示します。

令和4年国会議事録の集計結果

衆議院の発言は65,728件(54%)、参議院の発言は57,122件(46%)となっています。また、政党別の発言数はかなり差があります。
月別発言数のグラフを見ると、国会の会期(参考リンク)の関係で2月〜5月と10月〜12月が多くなっています。

2:ウェブアプリ版のご紹介

この記事でご紹介したマップのウェブアプリ版は下記から確認できます。
令和4年国会議事録マップツリー(外部リンク)

ウェブ版では、マップを拡大することで下図のように個々の発言内容まで細かく確認してできるようになっています。

マップツリーの拡大時表示

一つご容赦いただきたい点として、筆者の技量不足により「NHKのラベリング箇所に別の話題が混在している」など細かい部分では齟齬が見えると思いますが、大局的な傾向を重視する手法でプロットしております。
その他、ご質問等がありましたらお気軽にお問合せください。ここまでご覧いただきありがとうございました。


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