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各政党の国会における重点箇所をヒートマップで読み解く

来たる2021衆院選に向けて。以前の記事で2021年通常国会の全発言をマッピングしましたが、それを基に各政党が国会の場でどこに軸足を置いていたか、ヒートマップで見ていきます。

可視化手法やこの記事を書いたモチベーションとかは後述します。早速、各政党のヒートマップを順番に見ていきましょう。

各政党の国会ヒートマップ

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自由民主党はコロナ対策として「感染・医療・ワクチン接種」を主軸に、さらに外交エネルギー施策などをカバー。立憲民主党は「会食」といった不祥事への言及に力点を置きつつ、「感染・宣言」(=緊急事態宣言)に関する議論やエネルギー関連の話題にも注力していた模様です。

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公明党は「防災」など国土交通省にかかる話題が中心だったようです。日本共産党は、施策面で注力していた分野は見受けられませんが、「総務・会食」(=総務省の接待問題)に関する議論や、新型コロナ感染症対策、国防・外交といった主要な話題には顔を出していたようです。

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国民民主党も施策面で目立った傾向は見られませんが、緊急事態宣言下の支援金の議論にやや力点を置いていたように見えます。日本維新の会は、環境・アニマルウェルフェアといったユニークな箇所に注力していたのが特徴的でした。

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みんなの党とれいわ新選組は発言数が比較的少なめで、それぞれ金融政策教育の分野に重点を軸足を置いていたようです。れいわ新選組の「教育」の議論は主に障害者の教育に関する内容でした。

おわりに

以上、足早に読み解きました。これを見ただけで支持する政党を変える人はいないでしょうが、国会という場での在り方によって各政党の特色は見えたかなと思います。

公約とかも大事ですが「そもそもこの政党はより良い社会の実現に向けて頑張ってくれそうか」は机上の公約よりもこれまでの実績から判断するのが妥当だと考えています。それを見極める一助になれば幸いです。

補足その1: 手法について

ここで用いた可視化手法について簡単に説明します。まず、国会会議録検索システムのAPI(リンク)を通じて、2021年通常国会の会期中の議事録を全て取得。そのデータを整形し、形態素解析、文書ベクトル化、次元削減して議事録情報を2次元の概念マップに落とし込みます。そうして生成される文書ポイントのXY座標値に基づき、話題密度が高い箇所をクラスタリングにより特定し、その箇所のキーワードを集約してラベル生成します。その一連の実装は主にPythonとQGISで行なっています。

補足その2: 分析のモチベーション

前回の記事でも書いたのですが、2021衆院選では新聞など大手メディアを中心に「公約をワードクラウドで分析しました」という類の記事が多く見られ、ワードクラウドの使い方について少し懸念していました。特に、ワードクラウドではメジャーな話題が目立ちマイナーだけど大事な話題が目立たないという課題があり、ここに対して改善できないかと考えて今回のような可視化手法を試しています。

出典・免責事項

当記事の情報は、国会会議録検索システム(国立国会図書館)をもとに筆者が独自に加工し、考察した内容となります。正しく公正な情報を提供するように努めてはおりますが、必ずしも正確性を保証するものではありません。


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