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本について語る「異文化コミュニケーション・トレーニング–「異」と共に成長する」

異文化コミュニケーション学の基礎知識から、知覚構成主義に基づく最新知見までをさまざまな具体例やトレーニングを通じて紹介した『異文化コミュニケーション・トレーニング』。本書について著者の山本志都先生、石黒武人先生による対話形式で紹介します。



①本書で取り上げる異文化コミュニケーションとは

「異文化コミュニケーション」ということばからイメージすることは、何でしょうか。(3分39秒)

【『異文化コミュニケーション・トレーニング』の関連ページ】
・集団の異文化と立場によって出てくる「異」    p. 3, pp. 37-39
・無標(ふつう)と有標(ふつうでない)の立場性  pp. 171-178
・「異」を語ろう                 pp. 179-180

②異に対してどこまで共感していけばいいんだろう

共感と同感の違い、相手の世界を想像することについて。(2分37秒)

【『異文化コミュニケーション・トレーニング』の関連ページ】
・共感(エンパシー)         pp. 127-130, pp.344-347
・同感・同調・同情(シンパシー)   pp. 280-282
・自然な判断を停止する(エポケー)  pp. 126-127

③異文化コミュニケーションのゴールってなんだろう

深くわかりあうことが大切? 異文化コミュニケーションにみられがちな理想や学ぶことの目的について。(4分53秒)

【『異文化コミュニケーション・トレーニング』の関連ページ】
・互いの間で通用する感覚や知識を生み出す        p. 59, pp. 138-139, pp.151-153
・新たな選択肢を見つけて楽になろう           p. 366
・葛藤と共に成長し、一周回って楽になろう(器を広げよう) p. 313-315
・すべてがプロセス、変化は今始まっている        p. 316-319

④世界をデザインしているのは私たち

いま自分が感じている気持ちがどこから来るのか、を考えてみると世界の捉え方が変わります。(2分47秒)

【『異文化コミュニケーション・トレーニング』の関連ページ】
・過去の学習と経験で予測された世界(シミュレーション) pp. 157-161, pp. 219-222
・人はこの世界におけるプレイヤーではなくクリエイター  p. 80–89
・代替的な選択肢                    pp. 36-37, p. 118
・構成主義                       序章、第4章
・つくったものは、つくり変えることができる       pp. 86–88
・意識(メタ意識・自文化への気づき)          p. 20, p. 34, pp. 197-199, pp. 336-350

⑤迷ったら、「コミットメント」

異文化コミュニケーションを学んだ人が陥りがちなことと、その対処法とは。(1分52秒)

【『異文化コミュニケーション・トレーニング』の関連ページ】
・相対主義から生まれるジレンマと迷い    pp. 324-326
・コミットメント              p. 319, pp. 326-329, p. 361


本書の目次

序 章
 I 異はつくられる
第1章 現実感の構成
    世界を見る目、現実を感じる心は、つくられている!

第2章 知覚と現実
    見え方や聞こえ方のちがいによって経験は変わる!

第3章 情報処理の多様性
    文化の多様性も、神経回路の多様性も、異なる情報処理をもたらす!

第4章 構成主義
    人はいつも何かを構成している!

第5章 カテゴリー操作
    カテゴリーとの上手なつき合いかた!

 II 異と出会う
第6章 エポケーとエンパシー
    判断を止めると、新しい世界が見えてくる!

第7章 コンテクスト
    コミュニケーションはコンテクスト抜きには語れない!

第8章 未発の異と異対面
    見えなくなっているところの異に気づく!

第9章 異文化と異分化
    一様なものを多様にする!

第10章 コンテクスト・シフティング

 III 異と生きる
第11章 社会的カテゴリーとステレオタイプ
    固めた見かたをさせる頑固ものを、ほぐそう!

第12章 ポジショニング
    ひとつのカテゴリーに、「居着く」のをやめる!

第13章 異文化感受性によるナラティブ
    過去の異文化体験を彩り、未来を引き寄せる!

第14章 異をつかむ
    困り事の中から、異をつかもう!

第15章 異をなじませる
    遠くかけはなれた「異」を身近な存在にする!
 
第16章 ファシリテーション
    多様性を活かして、みんなで考え、行動する!

第17章 異文化コミュニケーションと成長
    異対面から先へ、そして相対主義から先へと歩んでいこう!

最終章 私たちはどこへ向かおう?
    未知なる未来への意識を整える!

講演録 多文化関係学会2019年度年次大会
「異文化感受性発達モデルの新たな理論的含意:共個体発生的知覚と量子的観測」(ミルトン・ベネット)


著者紹介

山本 志都(ヤマモト シヅ)
東海大学文学部英語文化コミュニケーション学科教授。上智大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了、博士(教育学)、ポートランド州立大学スピーチ・コミュニケーション研究科修士課程修了、修士。
主な著書・論文:『異文化間協働におけるコミュニケーション―相互作用の学習体験化および組織と個人の影響の実証的研究』(2011年、ナカニシヤ出版)、『異文化コミュニケーションワークブック』(2001年、共著、三修社)
石黒 武人(イシグロ タケト)
立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程修了、博士(異文化コミュニケーション学)。
主な著書・論文:『多文化チームと日本人リーダーの動的思考プロセス―グラウンデッド・セオリーからのアプローチ』(2020年、春風社)、池田理知子・塙幸枝(編)『グローバル社会における異文化コミュニケーション―身近な「異」から考える』(2019年、共著、三修社)[第9章担当]、『多文化組織の日本人リーダー像―ライフストーリー・インタビューからのアプローチ』(2012年、春風社)
Milton Bennett(ミルトン・ ベネット)
Intercultural Development Research Institute所長。ミラノ・ビコッカ大学兼任教授。元ポートランド州立大学教授。ミネソタ大学大学院 Department of Communication Studies and Sociologyで博士号を取得。
主な著書・論文:“Basic Concepts of Intercultural Communication: Paradigms, Principles, and Practices”(2013年、Intercultural Press)。“The Intercultural Viability Indicator: Constructivist Assessment of Organizational Intercultural Competence”(2019年、Journal of Intercultural Communication and Interactions Research Vol. 1, No. 11)。
岡部 大祐(オカベ ダイスケ)
順天堂大学国際教養学部異文化コミュニケーション領域講師。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科国際コミュニケーション専攻博士後期課程修了、博士(国際コミュニケーション)。監訳書に『グラウンデッド・セオリーの構築 第二版』(Kathy Charmaz著)(2020年、ナカニシヤ出版)

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