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笑ってはいけない三線づくり24時!〜日本一荒っぽい三線製作法〜


 たぶん、本職の職人さんがみたら爆笑するくらいの「めちゃくちゃな」三線の作り方を紹介しているこのコーナー。まだまだつづきます。

 棹を継いで延長したというひどい三線ですが、前回は、第一段階の下地とかるーく下塗りをお試しがてらやったところまでお話しました。

 今日からいよいよ「うるし」を塗っていくわけですが、下地と下塗りと同時に、微細な棹の形状を修正してゆきます。


■注 ほんものの三線を木材から削ってゆく場合は、あくまでも木材の状態で最終形状まで削ります。なぜなら削ってしまったものは盛り返したり、取り戻せないからです。

■注 けれど今回のような荒っぽい作り方(お遊びレベル)では、塗装で盛られる部分と研磨で削られる部分を同時にやってゆくことで、倍速になるのです。

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 いったん黒く塗ったものを、望ましい形状にあわせて120番くらいの紙ヤスリで研磨してゆきます。この段階で、棹面の水平や、棹長手の「まっすぐさ」などを追求してゆきます。真ん中の写真では、左側を削って平滑面をだそうとしています。(なので左だけ白く地肌が見えています)


 似たような作業が、これから1ヶ月間繰り返されます。


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 昔はカシューや、ワシンの「(人工・油性)工芸うるし」を使っていたのですが、油性で扱いがめんどくさいので、最近登場した「水性うるし」がオススメ!

(実は・水性ウレタン)

 めちゃくちゃ楽です。大ボトルと小ボトルがありますが、小ボトル1本で、ちょうど三線棹1つ分になります。今は2棹同時に作っているので、2本小ボトルを使うことになります。


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 食品衛生法にも適合しているので、お箸を塗って実用に使うのもOKな塗料です。なんと左大文字は食卓テーブルに新聞紙を広げただけで塗ってます。そういうところも楽ちん。

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 こーんな感じで塗ります。けっこうすぐ乾きます。30分もせずに、手にはつかなくなるので便利。左の中子部分は「透紫色」ですが、透明仕上げにしたいわけではなく、単なる下塗りに使っています。

 これで、下塗りからみれば「2回目」の塗りですが、まだまだどうでもいい「捨て塗り」状態です。とにかく「塗っては研磨、塗っては研磨」を繰り返します。

 水性うるしは、おおむね一回の塗布で0.1ミリくらいの厚みが出るように感じます。10回研磨せずに塗ると、1ミリくらい厚くなります。実際は研磨しつつ塗布するので、20回くらい繰り返して1ミリ弱の塗膜をめざすようなイメージになります。毎日仕事から帰ってきて、1回もしくは2回塗れたら上等です。

 ほら!一ヶ月かかるの、わかるでしょ?

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 棹の根元から先まで、まっすぐ平滑を目指します。第一段階としては、まあこんなもんでしょう。うるし塗装/研磨を繰り返すとまだまだまっすぐになります。

 ヘッドと棹と根元が平行になるように意識します。たいていの場合、左右にわずかにねじれたりしていますので、削りで修正します。


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 天がガタガタですが、気にしなくてOK。ガタガタ言うんじゃねえ!(笑)

 それよりもここでは、「棹の背がまっすぐ伸びているか」どうかを見てください。とくに下の棹は、棹から鳩胸にむかう「くびれ」もガタガタですが、これも塗装段階で修正が効くので安心してください。

 棹の側面のラインもあやしいですが、これも塗装で修正します。


 説明を入れればいれるほど、ちゃんとまともに三線づくりをしている人から見れば

「こいつ、むちゃくちゃ言うとるな!!!」

ということを言ってます(笑)

 逆に言えば、木工で塗装ありの場合、

「ごまかし方なんて、山ほどある」

んですね。そのごまかし方を伝授しているわけで、実は市販の三線でも、さすがに「継ぎ」はないですが、

「割れを埋めているもの」「それを塗装でごまかしているもの」

「欠けを黒木の粉と瞬間接着剤で継ぎ足しているもの」

などはたくさんあります。

 塗りを剥がないと、中がどうなっているかは、実はわからないのです。

 ましてや黒檀などは、割れたり欠けたりしやすい硬木ですから、製材されて三線用にさあ加工しようと削っていったら、中に割れがあることなんてざらにあります。

 それをしっかり強度をもたせて修正してあげるのも、三線屋さんの腕のうちです。

(ひどい楽器だと、埋めないでそのまま塗りで覆い隠してある場合もあり、のちにそこからヒビが入ったりします)


 では次回は、塗装と研ぎの極意を!


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