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【”シン・サンシン”プロジェクト03】究極で完璧な三線の勘所を教えよう!


 前回、「三線」の音階と「西洋音楽」の音階はすこしずれている、という衝撃の事実を検証しました。

 そこで、今回はそのあたりをもう少し掘り下げてみたいと思います。最終的には、三線を世界楽器にしたいわけなので、どちらかというと「西洋音階寄り」にもってゆくことが目的です。

 それでも、現状として三線をとりまく「音階」「ポジション」「勘所」がどうなっているのかを整理しておく必要はあるでしょう。

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 ギターのフレットのように、西洋音階において12の半音を設定するには計算式で算出することができます。

http://www.crane.gr.jp/CRANE_TSULTRA_FRET/CRANE_TSULTRA_FRET_CGI_J/index.html

http://sampodo.la.coocan.jp/korikutu/fret.html

などに、フレットの計算式が入力された計算機があるので、そちらを利用すると数字上の勘所位置ははじき出せます。


 三線の弦長は2尺(606mm)なので、上コマ(唄口)から下コマ(ウマ)までを606mmで設定すると、各フレットは次のようになります。

1FRET: = 34.0121742 mm
2FRET: = 66.1153878 mm
3FRET: = 96.4167816 mm
4FRET: = 125.017497 mm
5FRET: = 152.012979 mm
6FRET: = 177.4932792 mm
7FRET: = 201.5435406 mm
8FRET: = 224.243937 mm
9FRET: = 245.6702184 mm
10FRET: = 265.894014 mm
11FRET: = 284.9826504 mm
12FRET: = 303 mm

 これを三線に当てはめると、「五のライン」「六のライン」「七のライン」「尺のライン」「八のライン」が次のようになります。

◆五 66.1  ◆六 125  ◆七 152  ◆尺 177 ◆八 201

(これが、西洋音階で割り振った場合の三線の勘所の位置です)


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インターネットで調べると各三線店や、レッスンサイトでは、いくつかの別々の勘所が指示されています。

<A店>

◆五 64.0  ◆六 120  ◆七 150  ◆尺 173 ◆八 198

(弦長不明)


<B店>

◆五 640  ◆六 122  ◆七 150  ◆尺 173 ◆八 不明

(この店は弦店606指定らしい)


<C店>

◆五 66.0  ◆六 120  ◆七 150  ◆尺 なし ◆八 200

(この店はわかりやすいように端数をカットしています。弦長606)


<D店>

◆五 62.0  ◆六 112  ◆七 150  ◆尺 なし ◆八 198

(この店も弦長が短そう。あるいは、三線音階に合わせて下げぎみ?)


<E店>*前回取り上げた三線音階を提唱している店

◆五 64.0  ◆六 115  ◆七 146  ◆尺 165 ◆八 195

(この店は弦長606なので、わざと音を低めにしていることがわかる)


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 結論から言えば、すべて微妙に違いがあります。なんでやねん。

 これには理由があって

◆ まず、弦長を2尺(606mm)で確定しているかどうか

が、第一の差です。

 三線の弦長はウマを立てる位置で変化するのですが、「600mm」「606mm」「610mm」の3つくらいの解釈があります。

 「だいだい60センチ」「きっちり2尺」「ざっくり61センチ」と指定してしまうので、この分の差が出てくるのですね。

◆ その上で、西洋音階に寄せるか、三線音階に寄せるか

が、第二の差です。

 サイトや店によっては、指示する勘所が「西洋音階のポジション」になっている場合もあるし、「三線音階に寄せるように、調整が入っている」場合もあります。

 この2つの差がごっちゃになっているので、ポジションが乱立しているのですね。


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 そこでいろいろ考えた上での最終結論です。

『三線音階を再現したい場合は、やや音を下げぎみにする。ただし、実際にどの音を出すかは、おそらく唄者や流派等によって違う』

というのが、ひとつの真実だろうと思います。

 そして、逆に

『西洋音階を再現する場合は、弦長を確定して、そののち正確なフレット位置を計算する』

が正解です。

 その場合、

『弦長は「606mm」を基準としながら、適宜調整する。』

のが正解。

 バイオリンの世界では、「分数バイオリン」といって、手のサイズによってバイオリン本体の大きさを変えたものがあります。

 三線でも、勘所位置は、手の大きさで調整してよいわけで、その場合弦長が微妙に変わるので、600でも610でも、実はかまわないと思います。


<弦長600でのセッティング>

◆五 65.4  ◆六 123  ◆七 150  ◆尺 175 ◆八 198

<弦長610でのセッティング>

◆五 66.5  ◆六 125  ◆七 153  ◆尺 178 ◆八 202


 いろいろ試しながら、

あなたにとっての完璧な三線セッティングを追い求める

というのもおもしろいと思います。そういう考え方はいかがですか?


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