ヘッドホン、似合うかな?


ヘッドホンを買いました。

ワイヤレスイヤホンの片耳だけなくすという私の厄介な無くし癖を根本的に解決するために。
流石にその理由だけじゃなカッコつかないから他にも正当化するためのそれっぽい理由を見つけてみた。

一つ、なんか音楽好きのワンランク上に行けてる感じがするから
二つ、なんか音にもっと集中できそうだったから
三つ、確実にイヤホンより無くしにくいから

今まで、ワイヤレスでその存在を気付かれないようなものをつけていたのに、急に主張100%のヘッドホンを装着する。

この一歩が、私にとってどれだけ大きな一歩だか、想像がつくでしょうか。

初めてヘッドホンをして外を出た時は、スクール水着で渋谷のスクランブル交差点をダッシュする時くらい、周りの反応を気にしていました。

いや、スク水ダッシュは流石にしたことないけどね。比喩ってやつです。

ヘッドホンは私の憧れでした。

歳の離れた兄が誇らしげに聴かせてくれたヘッドホンのアナログで不器用なかっこよさ、
友達が貸してくれて似合うと褒めてくれた時の嬉しいこしょばさ、
スマートにしようとおもえばなんでもスマートにできる時代に逆らってるみたいでかっこいい。

そんな憧れを自分の所有物にした瞬間は、想像していたよりあっさりしていて、私の元に届いた別段高級なものではないヘッドホンはなんだかおもちゃみたいで、拍子抜けしたのを鮮明に覚えています。

私はヘッドホンに憧れがあったんじゃなくて、ヘッドホンを自分に似合わせる人に憧れを抱いていたことに、気付きました。

最初の頃はヘッドホンを装着することに意味があったので、音楽再生装置ではなく、外界遮音装置として使っていました。

その勿体無さに気がついた時、私は一つヘッドホンと仲良くなれたのでした。

どこへ行くにもとりあえず首にぶら下げて行動をして数ヶ月が経った時、周りの友人達が私の一番かけて欲しかった言葉をたくさん言ってもらえるようになりました。

物は簡単に手に入るけど、
その物と馴染む自分になるのには簡単ではない。

一度馴染んでしまったらその馴染みが漂白されることはそうそうない。

私は自分で選んだ好きな物や人に時間をかけて馴染めたら嬉しいし、
そんな好きな物や人に一生馴染んでいたいと思ってもらえる自分でいようと、思いました。

「ヘッドホン、似合うね」




この記事が参加している募集

#この経験に学べ

55,057件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?