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三浦半島釣り魚図鑑(29) ムツ

「むつ」といえば、りんごのイメージが強いけれど、ムツという魚がいる。
子どもたちがサバをじゃんじゃん釣っていた頃、それでも時々時間帯によって釣れなくなることがあって、これを「活性が下がる」と言うらしいのだけれど、エサに飽きてしまうのか喰いつきが悪くなってしまうという。

そういう時に、それまで表層のあたりを2−3匹で素早い動きで泳ぎ回っていた黄土色の小魚が、じゃあおれが食おうかとばかりにエサに喰らいついてきたらしく、そうして釣れたのが、ムツという魚だった。

その魚がムツだと教えてくれたのは、毎日のように釣りに来ているほぼ釣り仲間のおじさんで、その前の日には一緒に釣りをしている友達が釣果をもらったらしい。うちの子の分まではなかったので、釣れると良いねと話していたところだった。でも本当にムツかはわからないというので、帰ってから調べてみたら、まさしくムツだった。

釣れたのは10cmほどの小魚だというのに、歯のするどいこと!小さなトゲのように尖った歯が並んでいて、気をつけないとケガをする。

ムツは大人になると、沖合のもっと深いところに棲むようになるそうで、全長1mにもなることもあるという。高級魚で、スーパーなどではあまり見かけない気がする。よって多分私は今まで食べたことがあるという記憶はない。

そうそう、銀ムツという魚は大好きで、以前はよく煮付けにして食べたものだけれど、いつしかメロという名前に変わり、しかもけっこうなお値段するようになったので、最近はあまり食べられなくなってしまった。その、外国産のムツに似た魚につけられた銀ムツという名前の本家の魚がムツである。

泳いでいる時に上から見ると、黄土色の細長い小魚なのだけれど、近くでよく見てみれば、オレンジ系の色をしたかわいい魚で、目がぎょろっとして少し大きめ。この日、ムツは一匹しか釣れなかったので小さな魚を大事に唐揚げにしていただいた。

小さくても、おいしい魚だということはわかった。味が濃い。サバは火を通すとパサパサした感じがあるのだけれど、ムツはむっちりしていて、脂がのっているというのか、しっとりとおいしい。ムツという名前の由来も、むっちりからきているとかいないとか。本当はもっと大きくなってから釣り上げて食べてあげたいのだけれど、漁港付近で見つかるのは小魚ばかりなので、小さくても致し方ない。

ムツがおいしいことはわかったので、今度はもう少したくさんまとめて釣りたいものだ。サバは煮付けにしても人気がなかったけれど、ムツの煮付けなら子どもたちも喜ぶだろうなぁ。

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