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#138 明和地所はなぜ建設を断念したのか? ⑩ 景観破壊の始まりを実証

 景観とは何か。
 景観を色と形の問題に限定しようとする明和地所に対して、高さも含まれると住民・市民は主張した。一般住宅地に突飛なものを建設すると違和感が生じる。この違和感は主観的なものだから、こうだと定義することは難しい。

 住民・市民は高層マンションの14階・43メートルという高さについて、次の3点を問題にした。
①相模国分寺跡公園の周辺には5階建てが1棟、他は全て3階以下の住宅。そこに14階建ての高層建築物を建設するというのは、あまりにも突飛で違和感がある。
②歴史的価値があり、多くの住民・市民の憩いの場となっている相模国分寺跡公園の隣接地に高層建築物を建設することに問題がある。
③もし、今回、14階建ての高層建築物が建ってしまったら、第2第3の高層建築物が林立していくのではなかろうか。そうなると、数多くの問題が発生することになるだろう。

 明和地所の住民説明会での説明内容に関して、住民・市民から多くの意見書が提出された。14階・高さ43メートルであることが問題だとした意見に対して明和地所は次のように回答した(太字部分)。
 建設地から周囲の状況を見ても、一定程度の中高層建物の存在が確認でき、用途地域も第一種住居地域であり、一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さなごく小規模な工場が建てられる比較的規制が緩やかな地域です。本計画が著しく景観を害するとは考えておりません。

 この回答は上記の住民・市民の不安③がいかに現実的なものであるかを見事に実証している。第1の高層建築物を建設してしまえば、住民・市民の建設反対の声は小さくなり、第2第3の高層建築物の建設は容易になる。業界にとっては好都合だ。建設業界はこうやって成功体験を重ねているのだろう。
 だからこそ、だからこそ、第1の高層建築物の建設を許してはならない。住民・市民の建設反対への思いは更に強くなっていった。

(24.5.13)

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