#09 自治会としての意見書
相模国分寺跡がある地元の国分南1丁目自治会では規約に基づく臨時総会を開催して、以下の意見書を市に提出したそうです。この意見書は、相模国分寺跡南側隣接地で何が起ころうとしているのか、その進め方に問題はないのか、市民や市はどう対応すればよいのかなど、多角的に検討するよう求めています。
私は、成熟した社会とはどのようなものかと考えながら読みました。
【国分南1丁目自治会としての意見書】
5月25日の説明会で配布された資料には、「3.開発事業により想定される周辺への影響」の項目として相模国分寺跡の景観への影響の記載はなく、説明者は景観への影響はないと断言しました。相模国分寺跡の真横にそれも真南に14階建て高さ43mのマンションを建設して景観上の影響が生じないとは断じて言えません。
今回の建設計画は、容積率の上限の200%に限りなく近づけ、日影規制の盲点を突いた規制逃れの奇策(愚策)といえるものです。利潤追求のため200%に限りなく近い容積率を求めることは企業の勝手な(傲慢な)論理です。相模国分寺跡周辺が現にそうであるような普通の設計を求めます。そうすれば景観への影響はほとんど生じることがなく、地域の一定程度の理解も得られるはずです。
海老名市景観推進計画の11ページで相模国分寺跡は歴史的資源地域とされ、「相模国分寺跡では塔基壇等が復元整備され、、、、周辺地域の景観的な調和という視点から、より良いまちづくりが期待できます。」と記載されています。
また、同計画書の16ページの(1)全ての行為において配慮する事項での海老名の景観の基盤となる特徴的な要素への配慮として、「相模国分寺跡等の歴史的景観資源が存在することを意識し、それらを配慮すること。」と明記されています。今回のマンション建設計画は、海老名市景観推進計画の考えに反するものです。
海老名市住みよいまちづくり条例では、第4条の(市の責務)で「市は基本理念の下に計画的なまちづくりに取り組まなければならない。」とされ、同条例第7条の(まちづくりの計画)で「市のまちづくりは、(中略)海老名市都市マスタープランのほか、次に掲げる計画等により行わなければならない。」とし、第5号で「海老名市景観条例第6条に規定する景観推進計画」が規定されています。このように景観推進計画に反する今回の建設計画は、まちづくり条例の基本的な考えからも排除されるべきものです。
また、まちづくり条例が求めている建設の基本計画についての説明会開催の手続きに関連して、冒頭述べたように開発事業により想定される周辺への影響として景観の項目が欠落していることから、条例で求められている説明会の要件を満たしたものを開催したとは言えないのではないかとの疑念も生じます。
さらに、事業者作成の意見書の内容についての項目で、「意見書の内容は、開発事業の賛否を問うものではなく、地域としての影響や課題などの問題提起を対象としています。」と矮小化しています。何を根拠にこう述べているのか不明です。説明会での説明事項として、「開発基本計画書の内容」が1番目に規則で規定されています。事業の賛否も当然問えるものと言えます。
「まちづくりは、自然と調和をしながら持続的に発展することを目指し、公共の福祉の下で豊かで快適な環境を守り、次世代に引き継ぎ、育むように行われなければならない。」との「海老名市住みよいまちづくり条例」の基本理念に大いに賛同するものです。
だからこそ、先人たちから受け継いだ良好な景観を守り、後々の人々から「何故こんな建物を建てさせてしまったのか?」「海老名の恥だ!」と言われないようにしてください。市として具体的に規制する明確な法的根拠に乏しいという困難な状況下であることは理解できますが、ここは腹を括っての市としての主体的な判断と行動を大いに期待するものです。地域としてもまちづくり協議会や景観協議会等への協力は惜しみません。どうぞよろしくご検討ください。
(22.6.19)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?