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自信のつけ方が何となくわかった話。

養成所には色んな授業があるが、その中でも目玉授業と言えば、「ネタ見せ」だ。
ネタ見せとは、作家の先生やTVや劇場で活躍されている先輩芸人を前に自分が考えてきたネタを披露しそれについて直接講評をいただくというものだ。講評では、ネタをどう改良すればお客さんが笑いやすくなるか、ネタの問題点について細かくアドバイスをもらえる。
お笑い界の超一流にアドバイスをもらえるというこれほどのチャンスもないが、これほどの地獄もない。なんたって相手は今まで自分が対峙してきた友達でもなければ会社の同僚でもない。弱肉強食なお笑いの世界を生き抜いてきたお笑いのプロだからだ。その人たちから面と向かって、面白くないと言われた日には自分が井の中の蛙であったという紛れもない事実が白日の下にさらされてしまう。しかも、ネタ見せは同じ授業を受けているベジータくらいぎらついた同期も大勢見ている。お前の腕はどんなもんやねん。という脅迫めいたメッセージのこもった鋭い視線が自分の体複数箇所にぶっ刺さる。
ネタ見せの持ち時間は一組2分だ。お笑いの授業をやってるとは到底思えない殺伐とした緊張感が張り詰める雰囲気のクラスで笑いが起きることはほとんどない。笑おうとか楽しもうという空気は当然一ミリもなく、ただ真剣にお笑いと向き合っている空気が張り詰めている。ただ、相方と考えてきたネタをがむしゃらに披露する。次のセリフやくだりを脳をフル回転して思い起こしながらネタを進めていく。最終セリフを終えて二人でありがとうございましたと頭を下げる。そこから、講師のアドバイスを聞く。前述したとおりの講評が終われば自分が座っていた場所に戻る。自分のネタを無事終えた後の脱力感は半端ない。ネタと講評含めて5分もないだろうが疲労を感じる。改めて、とんでもなく体に悪いことをしていると再確認する。同じ要領で何組も何組もネタ見せを行い、最終の出番の組への講評が終われば授業も終了となる。
帰りの身支度をしていると先ほどまでは睨みつける様にこちらを見ていた同期からネタが面白かったと声をかけてもらえる日もある。そのまま一緒にご飯を食べて帰る日もある。そうして、養成所の中の交友関係は徐々に広がっていく。
ネタ見せを行う前は、絶対に次の授業は出ないでおこうと思うほどの緊張と恐怖と不安を感じるが、ネタ見せを終えるとまたやりたいと思う。こうして少しずつ自信が形成されていく。
修羅場をくぐるしか自信をつける方法がない事を改めて知った。
noteへの投稿も同じように頑張ろ。
では、また明日。


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