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脳出血当事者が1人暮らしで上手くやっていくコツ〜平日編〜

自主リハビリのコツなどは理学療法士・作業療法士・脳外科医が専門。

ならば私が同じ脳出血当事者のために、発信できるテーマは「社会復帰の方法」「生活の再建」「アイデンティティの再確立の方法」だと考えています。

この記事では脳出血発症から半年後、1人暮らしを再開したオオサワが「生活の再建」のため、平日に意識しているポイントをまとめています。

▼脳出血発症と社会復帰の経緯はこちらのマガジンから


脳出血当事者で後々は一人暮らしをしたいと考えている方や、その支援者の参考になれば幸いです。

1人暮らしをするために必要なこと

脳出血当事者が穏やかな1人暮らしを送るためのスケジュールをご紹介する前に「1人暮らしをするために必要なこと」を6つまとめます。

1.回復期リハビリ病院でのFIM(機能的自立度評価法)を110点以上獲得する

2.自分の「不得意な行動」の把握(例:左から来た自転車への反応遅延)

3.安定した給与

4.引っ越し資金(実家などに一時帰省している場合など)

5.駅と生活用品・食料を買えるお店が近い物件(段差は少ない方が良い)

6.物件から片道1時間以内の場所に頼れる人が居る

これらはあくまで私が指標にしたポイントですので、参考までにとどめていただければと思います。

▼参考記事はこちら

1日の流れ~睡眠時間・軽い運動・手早い栄養摂取~

本題の平日の1日の流れをご紹介します。健康に1日を過ごすために私が気を付けているのはタイトルにある3つのポイントです。

1.睡眠時間:最低7時間は確保する(けいれん発作・易疲労の予防)

2.軽い運動:最低20分は確保する(筋力低下・抑うつ状態の予防)

3.手早い栄養摂取:脳の回復に必要な糖分と覚醒に必要な鉄分を麦芽飲料などで補う   

2020年6月に転職をした後から現在までコロナウィルス感染症対策で在宅勤務なので、起床~身支度・朝食が済んだ8:30~9:00を散歩の時間に設定。

また、終業後も洗い物や洗濯物の整理が終わったら、30分間散歩をするようにしています。

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※就寝開始の23時、休憩開始の13時など、予定をずらしてしまいがちな時間帯はApple Watchのアラーム機能も活用しています

仕事の合間に軽い運動(散歩)と家事、読書・note執筆を挟んでワークライフバランスを取るように意識しています。

そして、睡眠時間は7時間以上。

実は前職では終業後にキャリアアップのためにセミナーに通ったり、自宅に未知の仕事(編集ライターの先輩がOJTに就いていなかったので)を持ち帰ったり…平均睡眠時間は5時間。

飢餓状態ゆえのランナーズ・ハイのような感覚はありましたが、軽いけいれん発作を起こしたりと、年に2回は体調を崩していたのでおすすめしません。

若年層のキャリア形成期の当事者はキャリアを築き直さなくてはいけない焦りを上手く抑える必要がありますし、体調維持しながらキャリアアップできる環境に身を置くべきだと思います。

また、社会復帰後は平日でも自主リハビリをすることをおすすめします。

やり方が分からない・仕事の後は疲れていてやる気にならないなど、課題が出るかと思いますが、次の2つのポイントを意識すれば習慣化できます。

1.リハビリ病院でやっていた自主トレーニングを模倣する

2.時間は30〜60分程度に留める

私は上記のツイートのとおり主に小型エアロバイクと小ペグを使っています。

また肩甲骨の可動域を保つために、1mくらいの棒を持って両腕を上下前後に動かす運動を10回×3セット行っています。

忙しい平日を乗り越えるアイテム

とは言え、当事者の1人暮らしに不安を抱く方もいらっしゃるかと思います。

そんな場合におすすめなのが「時短」「安全」「安心」を叶えるためのアイテムです。

1.時短アイテム

・冷凍食品(休日の作り置きが足りないときなど)

・Amazonパントリー(日用品のまとめ買いや重い水・米の購入など)

2.安全アイテム

・Apple Watch(転倒アラート・SOS機能)

・避難用バッグ(震災時を想定。背負って歩けるか確認を)

3.安心アイテム

・ジャズなど落ち着きやすい音楽リスト

・ハンドクリーム、ネイルオイルなどリラックスできる香り

・家族との定期的な通話(自分を認めてくれる存在なら家族以外でも)

1人暮らしの平日に必要ないと感じたこと

あくまで大雑把に暮らしている私の所感ではありますが、脳出血当事者として3年間1人暮らしをして「必要ないな…」と思ったことを最後にご紹介します。

1.サブスクリプション型動画配信サービス

当初は「コスパが良い娯楽だ…!」と感動したのですが、映像を理解する能力より書面や耳から言葉の意味を理解する能力向上に時間を割いた方が後々ためになるな…と思い、本にお金を使うようにシフトチェンジしました。

2.手の込んだ料理

「結婚前の女性が何を言っているのか」と思われそうですが、平日は手抜きをしないと週末には疲労困憊です。休日の作り置きをより一層、活用するようになりました。

3.睡眠時間を削ってのインプット

キャリアのための自己投資は必要です。しかし、健康が第一。仕事や私生活のためのインプットは休日にまとめて行うようになりました。

さいごに~やらないことを決める~

脳出血当事者の1人暮らしは身体や脳機能の不自由さも相まって、簡単なものではありません。

また若年層の当事者は特に身体の変化に戸惑い、周囲がキャリアアップしていく様子に焦るあまり睡眠時間を削ってまで家事や仕事の勉強に邁進したくなるかもしれません。

しかし身体機能の改善も、キャリアアップも、生活設計も、健康あってのこと。

だからこそ、デジタルデバイスや時短レシピを活用して「やらないことを決める」のが脳出血当事者が1人暮らしで上手くやっていく最大のポイントだと実感しています。 

時には辛いですが、やらないことを決めるために「やれない(苦手になった)こと」を冷静に見極める必要もあります。

つまり脳出血当事者の1人暮らし(平日)は質より効率、そして仕事のために体力と気力を残すことを意識したスケジュール立てがより求められるのです。

▼参考図書

『時間術大全』(2019)…脳出血後の自分に「不要な時間」が何か考えたい方向け

『アウトプット大全』(2018)…脳出血後の自分がアウトプットすることを目的にどう1日を過ごすか考えたい方向け

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

脳出血当事者として、またその支援者として健康で快適な生活のために実践していることがあればぜひ、コメントで教えてください✍️

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