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若いときはどうしても

noteに集っている若い皆さんに説教する気はないんですが、いや少しあるけれど、あらためて、人の話は聞くもんだ、という個人的感想の話です。

若かった頃の自分ももちろんだけど、あなたたち(これを読んでいるあなた)、十中八九の割合で同じだったのでしょうが、年長者、社会的地位が上の人、つまり会社の幹部や学校の校長先生、そんな類いの人の話、まじめに聞いてましたか、と言う問いが愚問だろうくらいに、たぶん聞いてはいなかったでしょう。
彼らの話、訓示などは、どうしようもないくらい徹頭徹尾、初めから最後まで、高圧的で説教がましいうざいものだ、と言う先入観で聞いていたものだから、右の耳から入っても左の耳から抜けていく。でも自分の置かれた立場上、話を聞かないまでも、聞くふりはしていないとね、と言う基本的スタンスでいたのではないでしょうか。
でも最近の私と来たら、そんな、人の前で話をする「お偉いさん」たち会社の幹部の人と、近い年齢になってきたせいなのか、さほど拒否反応も出ず、脳内でもお偉いさんアレルギーが分泌されることもなく、聞けるようになってきました。
困ったもんです。人の話を聞くことができると言うことは、すでに若くない、初老に入った証というものです。
それでも比較的話のおもしろい人、の話に限るんだけど、つまり偉ぶっただけの話はやはりノーなんだけど、右の耳から入った情報を左の耳に持っていかずに、取りあえず脳の中に入れて分析してみようという意識が働くようになってきました。そうするとおもしろいもので、今まで避けていた、鼻くそほじっていた方がまだましだよと、全面否定していた話も、意外におもしろい事言ってるな、おっさん良い事言ってるなあ、と思えてきたんですよ。
若い頃から今までずっと素通りしていた話の中でも、校長先生や会社の幹部のみなさん、時には、きっと、良いこと言ってたのかな、もったいないことしてたな、なんて考えるようになってきたから不思議。

実は昨日、会社の幹部三人が私の働く事業所に来訪されて、社員全員と意見交換会が一時間ほど行われたんだけど、まあ全従業員と言っても50人そこそこなんでね、はい。それと私は少し前からこの会社に出向してきたばかりでこういった会合に参加すると言うことが初めての経験だったんです。
そのときの話。

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おれたちの前にじいさまが三人来た。
三人とも60歳から70歳くらいのじい様たち。会社の本体を退職した幹部がこうして下ってきて、私のいるグループ会社の社長や部長として経営陣を構成しているという体ですな。真ん中のひとが一番じい様で、おいおいだいじょうぶかい、もう隠居された方がいいんじゃね、と思えるくらいの顔立ち。で、なおかつこのじいさん、会議の直前、私たちの前に並んだ途端、やおら電話し始めた、またもや、おいおいいくら部下相手の会議とはいえ皆の前で、時間も来ているのに電話かよと言う具合。
司会のわが所長も少し苦笑いののち、じい様の電話終わるのを待ってやっと会議を始めた。
このじいさんがまず自己紹介がてらと称して話を始めたのね。
あ、やっぱりこのじいさまが社長さんだと判明したのだけれど
するとこのじいさん、意外に話がおもしろいのよ。
まず、「一人五分で話を終わらせますから」と言い放ってのち、「昨年度の経営実績は、簡単にいうと、まあまあ頑張ったよねというあたりかな」聞くものの耳をヒクヒクさせるセンテンスを時折使いながら、「昨年度の営業収益は会社の外側の要因もあって好調だった、が今年度はその反動で、大きな要因もなく大きな目標を立る事ができない。でもこの目標数値は皆ががんばれば何とかあげられる値であって、ただ普通に出てきたものじゃない。」と言う骨子。
内容を端的にまとめて要点のみ、くだけた口調で、なおかつ「あのー」とか、「えー」とかがなく聞きやすい。彼の少し高めの響く声の調子もあってなかなかいいのね。
加えてというか、逆に、というか社長の次に話しをしたもうお二方は、話の内容も口調も平々凡々。(てことは、この記事のテーマ、人の話は聞くもんだ、ではなくて、面白い話は聞くもんだ、なのかな)

このじいさまの話に引き込まれましたよ。わかりやすく納得させる。うんうん、面白かったよ、社長さん。
面白い人の面白い話は聞くもんだ。うん。当たり前か。

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今回の事例は、じいさま印象とは逆の話のうまさに、耳を傾けて見たくなった、という特殊な条件も多少加味されているけれど、私が若かったらノーのサイン出してました。でも私もそれなりの年齢になってバリアーが消えかかってくると、じいさまだろうが、おばさまだろうが、面白いこと言っているんじゃないかと、こちらも聞く気になってくると言うことに気づきましたと言う話なんです。
彼らの経験値から出る、いいところ突いた話。「うーん、上手い言い方するなあ」と無理矢理にでもつぶやきながら耳を傾けると、少しかもしれないけれど自分に響くものが残ると思うんですよ。

あ、初老鬱な私でも、たまには前向きな記事も、ね!

では、
若者たち、勉強しろよ。