勝手に読書週間
さて、僕のプロフィールにもあるとおり、先の「太平洋戦争」での一般的戦史や美談、英雄談といったものではなく、所謂徴兵などで戦地に送られていった下級兵士達が、いかに凄惨な戦いを強いられ、死地を潰走し ドロをすすり、虫や草を食べていたのか、その結果、なぜ飢餓で140万の兵隊が死んでいったのか(藤原彰の説)を調べていこう、というのは僕の(ちょっと大仰な言い方だけど)ライフワークなのである。
毎年夏になると、NHKなどで戦争の特集を組んで放送し、また何冊もの本が出版されている。下に挙げた2冊は、最近ほぼ同時に出た本で、戦後75年経った今でも、今だからこそ、戦争とは何だったのかを検証し問い続けている貴重なものだと思う。
今現在、僕は、必死に読んでいるので、そうして私、ノート取りながら読むのでめっちゃ遅読家?なんですよ。僕の考察を含めた読書感想を改めて書きますので、今しばらく、しばしお待ちを! 誰に言ってるか分からんけど。いや、可愛い山パンに言ってるんだけど。何のこっちゃ?
1,渡邉英徳、庭田杏珠「戦前・戦争」 光文社新書
東大の渡邉教授が中心として進められている「記憶の解凍プロジェクト」。AIを活用し、戦前戦時中のモノクロ写真をカラー化し、つまり今では当たり前のカラー写真として、直接的に可視化させて、戦前の生活風景と戦争中の戦いを対比させながら見せている。例えば戦前の沖縄糸満を歩く美しい女性を写した写真の一方で、特攻機が米空母に体当たりするときの写真、総員退去前の空母「瑞鶴」の写真などは、戦争の悲惨さやその是非を論ずる前に、胸が締め付けられ痛くなる思いである。新書版なので僕には虫眼鏡が必携。渡邉教授のTwitterフォローしてますって!
2、一ノ瀬俊也「東條英機」文春新書
太平洋戦争を調べていくなかで避けて通れぬ人物として浮上してくる、当時の宰相東條英機を捉え分析した本。少なくとも開戦の責任者であり、上に書いたような下級兵士を戦地に送った責任者なのである。そんな彼の実相は何だったのか、知りたいところである。近く再放送予定のNHKスペシャル選ドラマ「東京裁判」と併せて、今の私には興味津々といった所。必死に読んでいるなう。
3、猪瀬直樹「公」ニューズピックス
戦争とは関係ないけれど、日本を代表する、官僚社会や行政改革に長けた、政治学者であり作家の一人である。のみならず、東京都知事という行政の長(おさ)を務めた、異色というか特異な経歴をお持ちの猪瀬直樹先生。「ピカレスク太宰治伝」「昭和十六年夏の敗戦」を読んだが、猪瀬先生、ネットのない時代にどこでこんなに調べたんだっていう位の詳細な調査をしているのが驚き。各々一回ではもったいなくてもう一回読み直した覚えあり。
この「公」の帯には「作家生活40年の集大成」とあるが、これで終わりみたいなニュアンス書かんといて下さいよ。これからもこの混沌とした現代日本社会に、殊に巨大官僚組織に向かって抜刀していただきたい、ついでにちょっと一太刀、喝入れて貰わんとね。