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ぴんぴんとした男性と

先日用事があって仲間4人とともに○○県○○市を訪れた。早めに用事も終わった俺たちは、まあ特に何もない山間の町ではあるがせっかく来たのだからと、名所旧跡を何か一つ観光してみることにした。
そこで発見したのが「ぴんころ地蔵」である。全国の所々にあるらしいそのうちの一カ所で、賢者のあなたなら察しがつくであろう、その名の通り「死ぬまでピンピン、死ぬときコロリ」を願がけするお地蔵様がまつられているのだ。若い世代に迷惑をかけることが社会の罪悪とされる現代に生きている、その中でも特に「空気の読める」老人たちが訪れる聖地である(のかもしれない)。
そのお地蔵様はお寺の一角にあった。俺たち一行は早速お参りしたのだが、特に仲間のsときたら、死ぬときだけは迷惑かけないでねと奥さんから厳しく叱咤されているらしく真剣そのもの、お地蔵さまの頭をすりすりと撫でつけ、しかも何事か呟きながらうやうやしく手を合わせお参りをしていた。そうして俺らは地蔵様と道を挟んで建てられている棚に所狭しと飾られた絵馬を眺めはじめた。
概ね「達者で毎日過ごせますように」とか「お迎え来たときは迷惑かけずに行っちゃえますように」など、年寄りが必死の思いで書いたであろう実感の籠もる絵馬がたくさん吊されていたのだが、やや左でやや下方あたりの一番手前に飾られたそれの一つを見て、まさに俺らは目が点になってしまった。
そこには
「ピンピンした男性とめぐり会って、そうしてコロリと恋に落ちますように!」という、みうらじゅんが見たら泣いて喜ぶであろう文面が記された絵馬があったからだ。

ぶーーーっ!何それ?
「ピンピンした男性」って?
やっぱり「アレ」の事っすか。

ん?
ちょっと、臭いぞ。絵馬の場所も一番目につきやすいところだし。
ひょっとして、もしかして、仕込んだね、地蔵を建立した近くの商店街さん(笑)。まあそんなこともないか。
ムカ絵馬?

でも少しほっこりできた俺ら御一行様なのであった。めでたし!