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【講義受講録】「今 何を考えておくべきか」~新型コロナで変わる人・社会・ビジネス~

昨年、日経ビジネススクールと早稲田大学ビジネススクールが共同で開催している「MBA Essenntials」という講座を受講しました。

そのおかげで、昨晩、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成先生による、「すべてのビジネスパーソンに贈る「今 何を考えておくべきか」~新型コロナで変わる人・社会・ビジネス~」というオンライン講義を受講することができました。

昨年、早稲田大学で受講した時もそうでしたが、内田先生の講義はいろいろな気づきが得られる非常に刺激的な講義でした。

内容の一部をご紹介します。

1 イントロダクション

コロナショックの嵐が通り過ぎるのを待つのではなく、今こそ将来を見据えて行動すべきです。

誰が言っていることが正しいのか、ではなく、自分の目で見て、自分の頭で考える必要があります。

あらかじめ起きる可能性があるさまざまな事態を想定しておけば、いざというときに驚くことが少なくなります。予期せぬ出来事が突然起きてしまうのと、起きた出来事は最悪シナリオだったけれども予想していたうちの一つである、というのとでは、一歩踏み出す時の速さがまったく異なります。

2 イノベーションのトライアングルをコロナショックに当てはめる

内田先生が提言する概念に、イノベーションのトライアングルという考えがあります。

これは、イノベーションのドライバーとなるのは、「技術革新」だけではなく、「構造変化」、「心理的変化」の3つである、という考えです。「構造変化」の代表例は、人口動態など社会構造の変化です。

コロナショックにより、みんなが、「自分にとって大事なことは何か?」、ということを考えるようになり、内省・リフレクションの時代に変わりつつあります。

ウィズコロナの時代がすぐに終われば、また元の社会に戻るかもしれませんが、ワクチンの普及が先になり、ウィズコロナの時代が続けば続くほど、個人・消費者のマインドセットの変化(心理的変化)が固定化するでしょう。

このような心理的変化が生じることで、その結果構造変化が生じる可能性が高まります。

このような変化は、まず個人・消費者から起き、その後、企業や社会、国、世界など大きなものに変化が生じると予想されます。

3 個人のマインドセットの変化

内田先生は、起きるであろうマインドセットの変化の例として、様々なものをあげていました。その例としては、

・プライオリティ:やりがい、チャレンジ→生活の保障

・仕事:成長、将来性→社会に貢献する仕事

・働く場所:大都市、都心→地方、郊外、自宅近く

・コミュニケーション:リアル中心→ますますバーチャル化

・消費:物からサービス、リアルからEC→ますます加速、所有から利用へ

・食事:中食の増加→うち飯の見直し

などを挙げていました。

内田先生が協調しておられたのは、これらの変化の予想があっているかどうかではなく、自分なりに考えて予想することが重要である、ということです。

個人のマインドセットが変わればビジネスも変わりますので、他の人より先を読んで手を打つ必要があります。

例えば、在宅勤務が恒常化すればオフィス需要が減りますので、不動産業界がどうなるか、ということを予測する必要があります。

また、カラオケボックスは、感染のメカニズムがわかり復活するのか、5Gの発達に伴いバーチャルでできるようになるのか、などを予測する必要があります。

全員が、自分の仕事や社会がどうなるのかを考える必要があります。

4 企業、社会、国、世界の心理的・構造的変化

コロナショックの下、企業はBCPすなわち存続を維持することが至上命題となっています。そのため、企業は、取引先の選択の際、コストを重視するのではなく、ギブアンドテイクの関係を築けるかを重視するようになるかもしれません。あるいは、真に自社を助けてくれる金融機関はどこか、という視点でメインバンクの切り替えが生じるかもしれません。

社会の変化としては、ソーシャルディスタンスの重要性から、リアルからバーチャルへの変化が生じるでしょう。その結果、SNSのさらなる発展が生じるかもしれませんし、バーチャルのコミュニケーションが広がることで心の隙間を埋めるような新しいビジネスが生まれるかもしれません。

ソーシャルディスタンスという考えが続けば、人の介在が必要不可欠であるサービス業は、一時的に衰退するかもしれません。

国の変化としては、経済が衰退し、さらなる格差が生じるかもしれません。

世界の変化としては、自国ファーストがさらに進むかもしれません。その場合、日本がどのような選択をするかによって、自分のビジネスがどうなってしまうのかを想像しておく必要があります。

5 まとめ

これまでは技術革新が重要視されてきましたが、ウィズコロナ、ポストコロナの時代には、大きく起きる心理的変化、その結果として起きる構造変化に目を向ける必要があります。

そして、これらの変化に適応した人、物、企業が生き残るでしょう。

目の前の問題への対処で四苦八苦するかもしれませんが、将来のことを見据えて行動することも非常に大切です。

現在の問題への対処と将来への準備を同時に行うことは、戦争で勝つことを目指すのと同時に戦後の青写真を描くようなもので、非常に難しいことです。

しかし、今から将来のことを考えておかないと、新しいパラダイムの中で乗り遅れてしまいます。

以上、私の考えであるかのように披露しましたが、(私の理解に誤りが無ければ)すべて内田先生がおっしゃっていたことです。

弁護士の世界でも、コロナ前から徐々に進んでいたお客様との打ち合わせのオンライン化や裁判のオンライン化が、コロナを機に一気に進んでいくでしょう。

このように単純なことだけではなく、他にも様々な大きな変化が生じるでしょうから、取り残されないように一生懸命考え、努力しようと思います。

また、昨晩講義を聞いて、いずれどこかの大学のMBAでビジネスのことを深く勉強してみたいと感じました。

記事をご覧いただきありがとうございました。

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