「花束みたいな恋をした」を観た感想
はじめに
先日、今話題の「花束みたいな恋をした」を観てきました。
話題どおりいい映画で、いろいろと感じることがあり、文章に残したい、整理したいことがあったので、記事にすることにしました。
今回書きたいことは主に2つ。
「どうしてここまで話題になったのか」「働くということ」
僕が強く感じたこと、考えたことがこの2つでした。
なお、この記事には「花束みたいな恋をした」の一部ネタバレが含まれます。
また、全ての記述は筆者の感想ないし妄想です。
根拠のない考察などが多々ございますので、これらをご了承の上、お読みください。
どうしてここまで話題になったのか
僕がこれを観たときに一番強く感じたことは、共感性がものすごく高い映画だなということです。
この共感性の高さこそが、多くの人を惹きつけ、愛される要因となったのかなと思います。
この物語の主人公である麦くんと絹ちゃん。
二人が出会ったときに好きなものの話や、最近の出来事について会話します。
そのときに運命と言っても過言ではないくらい、趣味や感性、価値観がピッタリと合い、どんどん距離が縮まっていくのですが、このシーンを観てるときに僕が思ったのが「あ〜みんなこういうのに憧れるし、求めているよね。」
しかも、昨今ではこのような出会い方や、相手をより強く求めているのではないかなと思いました。
インターネットやSNS、アプリが発達し、恋愛というものはかなり身近になり、簡単に異性と出会えるようになりました。
しかし、その一方で粗雑な関係や扱いを受けたり、したりということも増えていると思います。
そういった経験をしたり、見たり、聞いたりする中で、この二人のような運命的な出会いから濃密な関係を築く様子は、多くの人の憧れであるために、共通の理想として共感を生み出しているのかなと思いました。
その後、付き合い、同棲を始める二人ですが、長い時間をかけ、少しずつすれ違っていき、破局へと近づいていきます。
これは、先ほどの理想からくる共感とは違う性質で、自分の経験からくる共感なのかなと感じました。
おそらく多くの人には、やり直したい過去や後悔というものがあると思います。
あの時こうしていれば、あの時こう言っていれば、どうしてこんなことになったんだろう、今とは違った形になれてたのかな...etc
そう思う出来事や関係って恋愛に限らず誰にでもあると思うんです。
受験なのか、仕事なのか、趣味なのか、何かはわからないけれど、少なからず後悔していることや、やり直してみたいなと思っていることがあるはずです。
その思いや経験をフラッシュバックさせ、それらと重なり合うことで強い共感を生み出すのではないかなと感じました。
こういった理想や経験からくる強い共感が、人を惹きつけ、心を揺さぶっているのではないでしょうか。
最近の若い人って、共感に弱いというか、好む傾向にあると思うんですよ。
Twitterを眺めていると、大抵恋愛に関するツイートって多くの人が思っていることの代弁だったり、あるあるだったりして、それが多くバズってる印象です。
そういうのを見ていると、恋愛に関しては自分の中にある「わかる」という気持ちが揺さぶられることの方が、当事者意識が芽生えて深く考えるようになったり、見入ったりするようになるのだと思います。
まあ、僕自身、恋愛がどうだのこうだのと詳しいことを言えるわけでも、考えるわけでもない上に、TwitterでちょっとバズってるツイートをTL上でサッと眺める程度にしか見てないので、完全に印象で語っているクソ浅い考えになっています。
全くもってあてになりません。
あくまで、そうなのかな〜って感じたってだけです。
ちなみに、この作品の劇中には実際の駅名や著名人、ブランド、楽曲がバンバン使われるので、それもリアリティーがあるというか、身近に感じる要因な気がします。
働くということ
僕は恋愛がどうのこうのより、こっちの方がめちゃくちゃ刺さりましたね。
それは先日、仕事を辞めたことも関係しているのですが、それこそ強く共感しました。
麦くんと絹ちゃんがすれ違っていく中で、一番の原因となったのがこの働くということにあったのかなと思います。
同棲を始めた当初、二人はフリーターとなり、自由な生活を送っていました。
麦くんは好きなこと、やりたいことが仕事になればと頑張ります。
が、現実は上手くいかず、とある企業で正社員と働きだします。
そのときの麦くんは、絹ちゃんと一緒にいたいがために働き出すのですが、仕事というのは多くの気力、体力、時間を奪っていきます。
そのために麦くんは、いつしかしたかったことや、好きだったことに手をつけなくなっていきます。
そうなると、絹ちゃんが最初に惹かれた麦くんではなくなっていくんですね。
本を読まなくなる、映画を見なくなる、ゲームをしなくなる、舞台に行かなくなる。
こうなっていくと、麦くんの良かったところである感性や芸術性というのは死に、だんだんと絹ちゃんが好きだった麦くんはいなくなっていきました。
もう本当にここは痛いほど気持ちがわかりました。麦くんの。
無理なんですよ。働いていると、学生時代のようにいつでも、なんでも好きなことに手を出すということが。
気力や体力はさておき、時間が本当にない。
なかなか時間に余裕が持てなくなる。
個人的に一番それを表してるなと思ったのが、絹ちゃんが昔からの知り合いである人が麦くんに会いたがってるという話をしたときに、麦くんがはぐらかすんですね。
もう、本当にわかる。
天秤にかけてしまうんですよ。
貴重な休日の時間を使ってまで、その人に会うべきなのか。
他に自分がしたいことや、体を休めることに時間を使った方がいいんじゃないか。
そう考えてしまうんです。
僕も何度も経験があります。
ああ、こうして人って何かへの興味を失ったり、感性を失ったりしていくんだなと思うこともあったし、映画を観ていて再度思いました。
でも、それが一概に悪いことだなんて思いません。
むしろ、そうなってまで、そうなっていると感じてまで絹ちゃんと一緒にいたいと強く願って、生きていた麦くんが羨ましかったです。
彼は自分のためだけに働いていたわけじゃないんです。
絹ちゃんのためにも働いていたんです。
そのために、好きなことも、やりたいことも後回しにしたんです。
誰もそんなこと誰も頼んでいないと言ったらそれまでですが、そう思えるほどに、働くこと、生きていくことに意味を見出していたのは本当に素晴らしいことだし、羨ましいなと思いました。
働くって、誰もしたくないはずじゃないですか。
そりゃ家でずっとゴロゴロして、好きな時に好きなことして、それが理想じゃないですか。
でもそれじゃ生きていけない。
生きていくためには、働いてお金を手に入れなきゃいけない。
みんな簡単そうにやっているけど、全然簡単じゃないんです。
先ほども書きましたが、仕事というのは多くの気力、体力、時間を費やすんです。
それを苦と思うか思わないかは個人差がありますが、そう簡単なことじゃない。
僕には無理でした。
経験したからこそ、ドロップアウトしたからこそ言えます。
働いている人は、本当に讃えられるべきだし、敬われるべきだし、誇るべきことです。
自分のためだろうと、他人のためだろうと、大きな意味では誰かのためになっていると僕は思います。
誰かのために一生懸命働ける、生きていけるのは、素晴らしいことです。
だからこそ、絹ちゃんとの未来のためと思って、一生懸命働き出した麦くんが、結果的に絹ちゃんとの未来がなくなってしまったのは切なかったです。
そこには少し二人の働くということに関しての価値観の違いもあったなとは思いますが、今回は割愛します。
働くということは人生の中で大きな影響を与えるよな、そう感じました。
そりゃそうですよね。人生の大半は労働で構成されるんですから。
最後に
この作品は、恋愛映画はあまり好きじゃないんだよな〜という人にもオススメできると思います。
現に僕がそうですし。
あんまり恋愛ものは好きじゃないです。
物語の先が気にならないので、なかなかハマれないんですよね。
ただこの作品は、恋愛以外のことも様々考えさせられるので、恋愛ものに興味ない人でも観たら楽しめるんじゃないかなと思います。
あとは、先ほどちょっと書きましたが、実在する人物や楽曲などもたくさん出てくるので、自分が知ってるものが登場するとちょっとテンションが上がります。
コロナ禍になってから一度も映画を観に行ってなかったのですが、久々に観た作品がこれで良かったなと思いました。
ネタバレがあったので、観てない人がここまで読んでいるかどうかわかりませんが、お時間があればぜひ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
感想やコメントいただけたらめちゃくちゃ喜びます。マジで。
では、また。
お・わ・り♪
P.S.
実はこの記事を書こうと思って3日以上経っていました♪
書く前にちょっとAPEXやるかと思ったら眠くなってを三回以上繰り返しました♪
APEXは罠♪
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