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今だからこそM-1グランプリと審査員の関係について考えてみる

こんにちは。株式会社パンダビジョンの佐野です。
僕は起業する前に、吉本興業で11年半ほど社員として働いていました。
最近では、ありがたいことに、お笑いも含めたエンタメについて大学で講義のようなこと(オンライン授業)をさせていただくこともあります。

中田さんによる松本さんへの「提言」について

最近、YouTubeでオリエンタルラジオの中田敦彦さんがダウンタウンの松本人志さんに向けた動画「【松本人志氏への提言】審査員という権力」をアップし、大きな波紋を呼びました。
詳しくは、中田さんのYouTube動画を見ていただくのが良いと思います。

この動画では、「M-1グランプリ」や「キングオブコント」で審査員をつとめ、若手のネタを審査する立場にあった松本人志さんの「権力」が大きく、若手の成長や売れるチャンスに影響が強すぎるのではないかという、中田さんの「提言」が表明されています。

中田さんの主張の是非については、賛否溢れております。「よく言った」という意見もありますが、どちらかというと、中田さんへの否定的な意見の方が多いようです。

漫才師にとっての夢の舞台「M-1グランプリ」

「M-1グランプリ」について簡単に改めてまとめるとこのようになります。

・2001年からスタートした若手の登竜門となる漫才の大会
・吉本興業と朝日放送テレビ(ABCテレビ)が主催
・当初は芸歴10年以内のお笑いコンビが参加(現在は15年以下)
・参加人数は2022年大会でプロアマ合わせて7261組
・2011年~2014年は不開催

https://www.m-1gp.com

M-1グランプリがもたらした功績は大きく3つあると思っています。

才能ある若手の発掘

お笑い芸能事務所にはたくさんの若手芸人が所属しています。テレビを主戦場としない芸人にとっての活躍の場は劇場への出演になります。そこでライバルとなるお笑い芸人たちと切磋琢磨しながら、「売れる」ことを目指して行くのですが、1番の大きな目標が「M-1グランプリ」や「キングオブコント」「R-1グランプリ」などの賞レースです。

ゴールデンタイムでも放送されるお笑い賞レースでの活躍によって、お笑いファンや一般層だけでなくテレビ関係者や広告代理店など業界人の目に留まりやすくなるからです。
数多くのお笑いのスターがM-1グランプリを通じて誕生していることは事実です。

若手芸人の成長の機会

「M-1グランプリ2022」では、プロアマ含めて7000組を超えるお笑いコンビが出場しています。その結果、競争が激しくなることで、若手芸人の漫才の技術向上の絶好の機会となっていると言えます。

「M-1グランプリ」は当初、10年以内(現在は15年以内)のコンビ歴の芸人さんしか出ることができませんでした。それは、「M-1グランプリ」の企画にも関わったとされる島田紳助さんの「漫才を10年やって売れなかったら諦めた方がいい」という考え方によるものだとされています。

期限があるからこそ、努力する気持ちも生まれるのかもしれません。

お笑いの「競技性」

「M-1グランプリ」が初開催される以前から、関西を中心にお笑いコンテストは存在していますが、「M-1グランプリ」という大きな大会がスタートしたことで、「審査されるお笑い」「順位がつけられるお笑い」という概念が広がったことは確かです。

「審査される」お笑いという概念が、芸人だけでなく、一般のファンにも浸透することで、お笑いの「競技性」が生まれています。Twitterなどを見ると、審査員のようにポイントを付けたり、批評的な視点でネタを楽しむ方も増えてきています。

審査員に有名芸人が必要な理由

僕は2007年に吉本興業に中途入社しました。最初は漫画雑誌の編集や出版部門での制作業務を担当していました。
「M-1グランプリ」でも活躍したある芸人さんにインタビューする機会がありました。その芸人さんにとって「M-1グランプリ」とは何か聞いてみました。
ライバルに勝つことよりも、有名になってお金を稼ぐことよりも、松本人志さんや島田紳助さんといった自分が憧れた人の前で最高の漫才をしたいという答えでした。その言葉は、とても印象に残っています。

有名な芸人さん、大御所の芸人さんが審査員を務めることは、いくつもの理由があると思っています。

  1. 大会の権威づけ

  2. テレビ番組として成立させるため(視聴率を上げるため)

  3. 若手芸人の参加モチベーションと納得感

「THE SECOND」では、お客様の投票により、審査が成立しています。
これまでも、一般ファンの投票を取り入れたお笑い賞レースは、ありましたが、どうしても人気のある芸人さんが有利になるのではという懸念があり、審査として成立させずらかったように思います。

大御所芸人が審査員をする理由と大変さ

漫才やコントで天下をとった大御所芸人さんたちが審査することで、納得感を視聴者だけでなく、参加している芸人さんも持ちやすいと言えます。とはいえ、実際は好みだったりその場の空気感、出番順もあるので、完全に公平な審査というのはあり得ません。

吉本興業で働いていた時に、若手の芸人さんが活躍するお笑い劇場のイベントで審査を担当したことがあります。
感想から言うと、とても疲れました。「面白いかどうか」を審査するのはとても難しいです。自分の好みだけでなく、会場の受け方、独創性、テンポの良さ、ネタの伝わりやすさ、など評価に影響を与えていきます。仲のいい芸人さんもいれば、知らない芸人さんもいるので、そう言ったことも影響しないように審査しなければいけません。仲のいい芸人さんに厳し目の審査をして、それを本人がどう思うかとかも頭によぎったりもします。

「M-1グランプリ」に話を戻すと、僕が経験した1000倍、1万倍ぐらい大変だと思います。審査のポイントは全国ネットで放送されています。人生を賭けて漫才に取り組む芸人さんの努力も知っているでしょう。
審査員が審査されるという状況もあり、審査員というのは大変な仕事だなと感じます。その中で、「M-1グランプリ」初期から審査員を務めている松本人志さんの存在は、大会を継続する上でとても重要であり、ご本人の負担も大きいと感じています。島田紳助さんがいた頃に比べて、実質的に審査委員長といったみられ方をしているからです。

まとめ

吉本興業を退職して、独立してから今日でちょうど4年が経ちました。大学でいえば入学から卒業です。「お笑い」という仕事は中毒性の高い仕事だと思います。
お笑いの現場を離れた後でも、芸人はもちろん、マネージャーやプロデューサーなど社員・スタッフという立場でも、過去の楽しくて辛い経験がなかなか忘れられるものではありません。

僕も吉本興業を辞めて3、4年ぐらい経ってやっと、一ファンとしてお笑いを楽しめるようになってきました。「お笑い」は、とても人間臭くて、愛や憎しみが生まれやすいのではないかと思います。

今回の騒動をお笑いとしてネタにしている芸人さんがたくさんいました。そういったところが本当に芸人さんの素晴らしさだと思います。

ということで、まとまりがないnoteになりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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会社名:株式会社パンダビジョン
代表取締役:佐野篤
設立日: 2019年6月3日
所在地:東京都渋谷区代々木
コーポレートサイト:https://panda-vision.co.jp/
お問い合わせ:info@panda-vision.co.jp

こんにちは、株式会社パンダビジョンの佐野と申します!サポートをご検討いただき本当にありがとうございます😭