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AVの真実

こんにちは、AV女優の三宮つばきです。

今回はこちらの「AV新法を変えるために皆にお願いしたい事」という記事に関連した内容になっています。

皆さんに正しくAV業界を取り巻く現状を知っていただくことで、今世間に渦巻いているAVに対する攻撃的な偏見を減らせるのではないかと私は考えています。

最後までお読みいただければ
・AV業界に関する正しい知識
・AV女優の人権の扱われ方
・AV新法をなぜ変えたいのか

が分かるようになっていますので
ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

AVの歴史

2014年AVの出演を拒絶した女性が所属プロダクションから2460万円の違約金を請求される事件が東京地方裁判所に提訴されました。しかも原告は違約金を請求している側で「支払う義務」を認めさせるために民事裁判を起こしました。皆さんご存知のAV出演強要問題の発端です。

翌年9月原告敗訴が言い渡され、女性は違約金を払う義務がないと判決されました。この事件をきっかけにAV出演強要問題が明るみにでて世間でも話題になりました。
世間にAVは「反社会的」「お金に困った女性が無理やり出演させられている」といったような悪いイメージが強く印象付けられました。

AV業界で働く方の中には健全な業界を目指し尽力する人々も存在していましたが、AVは数十年の歴史しかなく既得権益が強く作用しておりあまり大きく人権保護について切り込むことが出来ていませんでした。

しかしこの事件を皮切りにAV業界も内部で大きな動きがあり、2017年にはAV女優の人権を確実に守るための様々な対策が確立しました。

みなさんは裁判沙汰の事件が発生しているところまでは何となく知っていたかと思いますが、その後にAV業界が大きく変わった事を知らないと思います。そのせいで世間では今も事件直後のイメージと変わらない印象を持つ方もいらっしゃると思います。

2017年に主に行われたことは「適正AV」という概念を作ることでした。

適正AV

AVを一つの産業、ビジネスとして成長させていくためには労働者の人権を守り続けることが当然必要不可欠です。これは普通の会社でも同じことです。

AV女優の人権を確実に守るためには適法な契約書と確実な意思確認が必要です。そのためにAV業界は人権団体を含めた様々な第三者機関を設けました。

AV人権倫理機構
AV人権倫理機構 外局 (AVAN)
NPO法人知的財産振興協会(IPPA)
一般社団法人日本プロダクション協会(JPG)
一般社団法人日本映像制作・販売倫理機構(制販倫)
一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)
第二プロダクション協会(SPA)

様々な機関が契約書や映像作品やプロダクションの適法性を管理することでAV女優の人権保護を2017年から今日まで行ってきました。
 
AV女優やプロダクションやメーカーはこれらの団体や機関に所属・加盟しており、IPPAに加盟したメーカーが制作し正規の審査団体の審査を経て認証された映像のことを「適正AV」として概念化しています。

適正AVとは
女優の人権に配慮した過程を経て制作され
正規の審査団体の審査を受けたAV作品

https://www.ippa.jp/organization/

「適正AV」以外のAVが違法であったり人権侵害を行っているとは限りませんが、「適正AV」以外を制作したりそれに出演することはいわば独自の制作・キャスティングが行われていると言うことでありリスクがあると言えると思います。
 
「適正AV」でないものの代表としては、IPPAに加盟していない会社が制作した動画・無修正動画・個人撮影動画・個人間の合意で行われている動画撮影のアップロードなどがあります。
AVの定義はあいまいなので、これらが全てまともなAVではないと言うわけではありませんが「適正AV」ではない事は確かです。
 
AV出演強要問題以降、AVを持続可能な産業として成立させるためにAV業界はクリーンな業界を目指し2017年以降大きな改善を遂げました。

適正AVについてより詳しく知りたい方はNPO法人知的財産振興協会のサイトをご参照ください。

AV女優の人権

適正AVに出演する女優は、全員が自分の自由意志で出演を許諾する必要があります。誰かに脅されたり強要されたりしている場合は出演することができません。

しかし「意思の確認」というのは本当に難しいものです。
口では幾らでも嘘を付けますし、契約書にサインをした後に「私は騙された!」となれば契約は覆ります。
AVを制作する側つまり女優を雇う側も経済的リスクを背負う事になります。

もちろん女優希望の女性自身も、自分の意志に反した撮影が行われたり無言の圧力を掛けられる場面があったりするのではないかという心理的不安が常にあります。

ですので両者にとってAV女優の意志を確認する事はとても重要な事で、それを蔑ろにするメリットは誰にも存在しません。

適正AVに出演するAV女優はJPGかSPAのどちらかに加盟している約80社のプロダクション(芸能事務所)のどこかに所属する必要があります。
※フリーの場合はフリー女優連盟

プロダクションにはAV出演に関する説明責任があり、その責任を果たしている証拠を残すために面接段階からカメラで対話風景を録画します。

AV女優としてデビューするためにはIPPAに加盟するメーカーに撮影の契約を結んでもらう必要があります。メーカーの面接・契約時もずっとその様子をカメラで録画します。

メーカー側は制作費用を投資しAVを制作します。販売した利益でまた次のAVを制作するので、もちろん「売れる作品」を作らなければなりません。
そのためにどんなAV女優を採用するのかとても真剣に吟味する必要があります。しかも現在はAV女優過多ですからメーカーはAV女優を選べる立場にあります。
市場価値のあるAV女優でなければAV女優としてデビューすることができない現状はモデルや俳優や芸人と同じです。

そのような現状の中で、嫌がる女性をリスクを背負ってまで無理やり出演させる意義が適正AVには存在していないのです。

私がAV女優になる過程で私の人権がどのように守られたか具体的なエピソードを交えて紹介しておりますのでぜひAV人権倫理機構 外局 (AVAN)のサイトから読んでみてください。

AV新法をなぜ変えたいのか

現行のAV新法は「適正AV」と「適正AV以外のアダルト動画」を同列に見なして語られており、適正AVを作るために私たちが行ってきた工夫や努力、そしてその成果を全く無視して作られています。

この法律を作った方たちはそもそも「適正AV」の存在を知らないまま法律を作っていました。
そして2014年の事件の印象を持ったままAVに対して厳しい制限を課すことでAV出演被害を根絶しようと試みています。

先ほど説明した通り、適正AVには出演強要被害が大変に起こりずらい仕組みになっています。
それなのにAV新法は「適正AV」に対してものすごく規制が厳しい内容になってしまい肝心の被害の温床である「適正AV以外のアダルト動画」へのアプローチは少ないのです。

被害のないところに勝手に被害者がいると妄信し、早急に法律を作ってしまったせいで、私たち「適正AV」に携わる労働者は疲弊しています。

もちろん出演強要の被害者は救済されるべきですし、被害者が出ないようにありとあらゆる工夫をしなければなりません。
さらに言えば例え被害に遭ったとしても裁判になれば必ず勝てます。
2014年の事件も違約金を払う必要はないという判決が出ています。
法律は最初から被害者の味方です。
もし今出演強要の被害に遭っている方は弁護士に相談してください。

「適正AV」に過去に出演した方で、作品の販売配信の停止を望む場合はこちらに連絡してください。

最後に

2017年から取り組まれる「適正AV」について初めて知ったという方も多いと思います。
FANZAやSODに販売されている作品は「適正AV」です。
なのでみなさんが「AV」と聞いて想像するのはほとんどが「適正AV」であり女優の人権保護の元に制作されたものです。
さらに「適正AV」は18,19歳を演者として起用することを否定しています

https://avjinken.jp/dl/topics/20220323_seinen.pdf

AV女優は明日花キララさんや三上悠亜さんや深田えいみさんの影響で人気の職業になりつつありますから、出演を強要する背景がありません。そのような事情を皆さんに知っていただき、改めてAV新法は
「誰を守るために作られたのか」
「被害者はちゃんと守られているのか」
「現在自分の意志で働く女優の”働く権利”を侵害していないか」
を考えてほしいです。

そして私たちの意思決定を「どうせ強要されたんでしょ」「お金に困って仕方なくやっているんでしょ」という風に捉えないでください。
私たちAV女優は自分の意志があり、自分で決定できる権利があり、出演によって起こるリスクを理解できる知能もあります。
それを否定することはまさに人権侵害に他ならないと思います。

AV新法を変えるために協力してくださる方はぜひこちらの記事も読んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
AV新法について思ったことや質問や疑問がありましたらコメントよろしくお願いします。
貴方の最初で最後の推しになりたい、三宮つばきでした。

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