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短編小説

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今まで書いた短編集です。
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#超短編小説

「掌編小説」〜白い靴〜#シロクマ文芸部

白い靴がコツコツとアスファルトの道路に足音を響かせて、私の背後から近付いて来る。 コツコ…

sanngo
4週間前
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「短編小説」 朧月#シロクマ文芸部

朧月が春の夜空にぼんやりと浮かんでいた。 楼主のおやじさまが、ちり紙に包んだ星のようなお…

sanngo
3か月前
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「ショート」朝焼けまで

遮光カーテンの隙間から、夜の闇と寒さが僅かに忍びこんでくる。俺はベッドの中で静かな寝息を…

sanngo
3か月前
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「短編小説」閏年に#シロクマ文芸部

閏年に一度、母は私に逢いにくる。 うっすらと覚えているのは、四歳の時、砂場で遊んでいた私…

sanngo
3か月前
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「短編小説」追憶の残り火3「春めく日に」#春めく#あの記事の後日談

渋谷 美希が杉浦 和也に宛てた手紙 杉浦 和也様 一雨ごとに春めいて参りましたね。 お元気…

sanngo
3か月前
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「短編小説」答え合わせは…#青ブラ文芸部

「杉山さん、此方の樽も見てください」 酒蔵の若旦那が俺に声を掛けた。 「おー、此処が終わっ…

sanngo
4か月前
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「ショート」無常と普遍的なモノ

憂鬱と言う文字がぴったりと寄り添っているような雲だった。窓の外を見上げて、いらいらと人差し指で机を叩いてみた。 コツコツ 乾いた音が響いた。 何も変わってはいない。いや、変わっている。 昨日と同じ景色は一つもない筈なのに、俺だけが変わっていない。 昨日より一日分歳を取っただけで、この無意味で自堕落な時間を貪り喰っている事に変わりはない。 時間と共に現れる「変化」だけが正義や良い事ではないが、その変化が成長をもたらすのも、また事実だろう。 くだらない くだらない くだらな

「短編小説」港が見える丘公園#青ブラ文芸部

主人の好きだった歌を思い出して書きました。 よろしかったら、ご視聴しながらお読みください…

sanngo
4か月前
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「短編小説」〜橋〜#青ブラ文芸部

降り出した細い線のような雨が高層ビルの窓ガラスを濡らす。幾筋もの線はやがて小さな流線形の…

sanngo
4か月前
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「ショート」私のこと好き?4#私のこと好き

『私のこと好き?    好きでも嫌いでもない』 オカメインコのメロンが窓際に置いた鳥かご…

sanngo
4か月前
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「ショート」雪化粧#シロクマ文芸部

雪化粧が施された歩道の上にてんてんと赤い血が何処までも続いている。俺は滑らないように気を…

sanngo
4か月前
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「ショート」本を書く2#シロクマ文芸部#私のこと好き?

「本を書くわ!」 私が、そう宣言したのは高校三年生の卒業間際のことだった。 クラスメイトと…

sanngo
5か月前
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「ショート」本を書く1#「シロクマ文芸部」#私のこと好き?

本を書く。 いや、実際は私は本を書く真似ごとをして一日中パソコンの前で過ごしている。 書…

sanngo
5か月前
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「ショート」チックタックなメリークリスマス

チックタックチックタック…… テーブルの上にはローストビーフと今年はよく燒けたと思うチキン、タコのマリネはお醤油ベースのドレッシングに粒マスタードを加えて一工夫。お酒が弱い彼のためにずわい蟹のドリア、これは缶詰使っちゃったけど。 冷蔵庫の中には冷やしたシャンパンと小さなケーキ。 今年は「美味しい」って言ってくれるかな? 照れ屋の彼がかしこまらないようにクリスマスのデコレーションは小さなツリーと赤と緑のランチョンマットだけ。 「うーん、完ぺき!」 美咲は思わず声に出して言