花火と手…「墓詣り」#シロクマ文芸部
「墓詣り」
花火と手桶を携えて、私は白い玉砂利が敷かれた遊歩道に足を踏み入れた。ジャリッ、ジャリッと小気味良い振動が黒いパンプスの踵から脚に伝わってくる。
歩道の脇には晩夏の陽射しを浴びて、猛々しく生い茂った木々達がサラサラと音を立て自慢の葉を揺らしていた。まるで私に
「何処へ行くの?何処へ行くの?」
と囁きかけているようだ。
そんな囁きを無視して、私は永遠に伸びているような白く長い道の果てに向かって歩いた。額や首元から吹き出してくる汗を拭いもせずにひたすら目的に向かって歩