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音の世界と音のない世界の狭間で

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聴覚障害のこと。わたしのきこえのことを、つらつらと。
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#イベントレポ

一言一句斜め読みで『ハリーポッターと呪いの子』を。

週末、ずっとずっと楽しみにしていた舞台『ハリーポッターと呪いの子』を鑑賞してきた。鑑賞レポートは作成途中なので、また後日に更新する予定。盛りだくさんすぎて、数日経った今もまだじんわり消化している途中。 聴覚障害者のあるわたしは、舞台を観に行くとなると、事前に貸し台本を自宅に郵送してもらう。そしてそれを自宅で読み込んで、当日客席にも持って行って読みながら舞台を楽しむ。 ところがどっこい。今回の『ハリーポッターと呪いの子』は話題作ということもあるのか、台本の事前貸し出しどころ

待っていて、わたしがわたしをもっと好きになれるかもしれないから@益子陶器市

と口にして気付く。あぁ、今日のわたしはたった一瞬も「お耳が疲れた」と感じずに、今、この夕陽を眺めているということに。 聴覚障害があるわたしは、きこえやすい左耳に、白い補聴器をつけて生活している。この補聴器、昔と比べるとぐんと性能が上がったんだけれども、つけていれば眼鏡やコンタクトをつけてはっきり見えるようにいろんな音を聴き取れるのかというと、そうではなくて。 例えるなら、撮影した動画を再生したときのような感じで、周りの人の声だったり雑音だったりそんなものがブワァっと耳に入

お耳の先輩と漆琳堂工房見学ツアーと@福井

なぜだろう。 わたしのまわりは、聴覚障害者であふれている。 いつもnote読んでくださっている方は充分承知だと思うのだけれども、このnoteを初めて読んだ方にとっては初めましてのカミングアウトをすると、わたしは聴覚障害者です。 あの、木曜日の22時からやっているsilentというドラマで、イケメン俳優目黒蓮さんが演じている男の子のように、高校生くらいからぐっと聞こえなくなって、今は補聴器をつけて生活しています。 ちょっと違うのは、家族以外の前でも声を出すこと。あと、口の

東京の片隅で、紫陽花が爆発的に増えた。

今年はやけに、紫陽花がたくさん咲いている。 同じ都内でも、去年の今頃は埼玉寄りに、今年は千葉寄りに住んでいるからだろうか。とにかく紫陽花をよく目にする。 紫を中心にピンクや青の小さな花が集まったそれは、梅雨のじめじめした季節をパッと明るくする上品な花で。「藍色が集まったもの」と意味する「あづさあい(集真藍)」がなまったものが語源だと言われているらしい。 去年のちょうど今頃。日本中にはじめて「緊急事態宣言」なんていう物々しい名前の宣言が出され、スーパーの入店制限、学校の休

一人の夢では叶わないが、みんなの夢になれば実現する。

「わからないこと」が 当たり前だった。 高校2年生の時、担当の先生が変わったその日から数学の授業についていけなくなった。今思えば、彼が黒板に向かって喋り続けていたことから、わたしの耳にも目にも情報が届いていなかった。だから、あの日から数学は気付いたら黒板に文字が増えていく不思議な時間になった。 大学に入って、ノートテイクを受けながらびっくりした。黒板に文字が増えていく中、教授が解説をしていることをノートテイカーさんの文字を通して知ったから。 高校のとき「わたしの努力不足