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音の世界と音のない世界の狭間で

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聴覚障害のこと。わたしのきこえのことを、つらつらと。
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2020年4月の記事一覧

狭間をぴょんと飛ぼうとするとき、世界はちょっぴりやさしく、輝きを増すのかもしれない。

彼は、相変わらず、ずるい。 夜更かしをして、ちょっぴり遅く起きた朝。テレビを見ながら、ふとこうつぶやいたんだ。 ぼくたちもテレビを消音にして字幕だけを眺めたら、 案外違和感なんてないのかもね。 要は、きこえるぼくたちが、sanmariの世界に行くってことだよ。 前夜の雨なんてウソだったのかもしれない。 そう思ってしまうくらい、見事な青空の広がるお昼どき。 テーブルの上には、ほかほかのご飯にお味噌汁、だし巻き卵に、昨夜の残り物たち。 外の世界では「緊急事態宣言」なんて物

目で理解するわたしと記者会見のこと。

都民への自粛要請以降、都知事だったり首相だったりが入れ替わり立ち代わりのようにテレビの画面のその先で、会見をしている、ようだ。 「なんか大きな発表があるらしいよ」 そう目にするたびに、テレビをつけて記者会見の様子を眺めてきた。 テレビの画面のその先で、「なにか深刻な問題について話がされている」ことはわかる。それでも、難聴のわたしにはその会見の内容の全てはきき取れない。 字幕をつけてくださる方が懸命に字幕をつけてくださっていることは、画面のその先からも伝わってくる。それで