広瀬和生の「この落語を観た!」Vol.133

5月10日(水)「立川笑二ひとり会」@アーリーバードアクロス

広瀬和生「この落語を観た!」
5月10日(水)の演目はこちら。

立川笑二『あたま山』
立川笑二『反魂香』
~仲入り~
立川笑二『景清』

『あたま山』は花見に来た松と竹の会話で始まる。「よくこんな場所みつけたな。こんなに立派な桜があるなんて知らなかった」と喜ぶ松に、竹が「ところで梅の奴、どうしてるか知ってるか?」と言って、一年前に岡山に引っ越した梅から「サクランボを種ごと食べて、種から芽が出た」という手紙をもらったと打ち明ける。その後、何通も手紙が来て、頭の上から出た桜がどんどん育って大変だと伝えられ、「なんだその嘘」と思いながらも気になって岡山に行ってみたら本当に頭から桜が生えていた。それを聞いた松が「ホント? だったら俺も見に行こうかな」と言うと「行く必要ないよ。あいつ戻って来てるんだ」「え? まさか…!?」 この立派な桜は梅の頭から生えていたのだった、という展開。梅が松と竹に「この桜、抜いてくれよ」と頼むので、「大丈夫か?」と言いつつ桜を抜いてやる。すると頭に空いた穴に雨水が溜まって池になり……。梅のキャラ設定が楽しい笑二オリジナル演出。三人のトボケた会話が実に面白い。笑二の“フラ”が効いている。

『反魂香』は八五郎が「隣りに引っ越してきた坊さんが夜中に鉦を叩き念仏を唱えて眠れない」と熊五郎に愚痴るのが発端。その坊さん、左腕がないという。その夜、八五郎が隣家に文句を言いに行くと、坊さんは「三年前に死に別れた妻に会っているのです」と言い、反魂香を火にくべてみせた。すると煙の中から女が現われてきたので、自分も三年前に女房おみつに死なれていた八五郎は、それを分けてくれと懇願。ひとつまみだけ分けてもらった八五郎、試してみると亡きおみつに会えた。また欲しいと思い隣家に行くと「十両くれれば、ひとつまみだけなら」と言われ、熊五郎に金を借りに行くが断わられる。手持ちの七両を持って隣家に行き、「なんでもするから」と頼み込むと、「左手をいただけますか」との返事。反魂香は人間の身体の干物を摩り潰してまじないをかけることで出来るのだという。どうしてもおみつに会いたい八五郎は……。従来の『反魂香』にはない設定を持ち込んだ、怪談仕立ての大胆な改作。人間の執着心の恐ろしさを描く傑作だ。

『景清』は石田の旦那が木彫り師としての定次郎の才能に惚れこんでいて「目が良くなったら観音像を彫ってほしい」と約束、目が開いた定次郎は見事な観音像を彫り上げて旦那のところへ持っていく。この観音像は遠くで雷が聞こえると目を開くことがあったといい、「目が開いた定次郎は木彫でも開眼した」という終わり方。定次郎の感情の動きに引き込まれるダイナミックな『景清』だった。


次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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