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逃避行

どこにでもいる普通の大学生


ただいつもよりすこーしだけ気分がいい

ここ最近、授業、就活、バイト、課題、
私を追いかけ回してくる奴らのせいで
切羽詰まっていた

もうどうしようもなくなって
落ち込んでいたところ、
数少ない友人の一人が声をかけてくれた


ノートとっとくし、休んでいいよ。


授業を休んで良いことよりも、
朝いつもより寝れることよりも、
何より変化に気づいて声をかけてくれたことが、
声をかけてくれる人がいると気づいたことが嬉しかった

言葉に甘えて今日は授業を休んで一人で旅に出てみた

とはいえ、お金もないので学校までの定期の区間内にはなる。


通勤ラッシュに巻き込まれていないからだろうか、
この通学路でさえもいつもよりすこーし気分がいい



時刻はもうすぐお昼

普段、完全に素通りしていた蕎麦屋さんに入ってみる

とろろそば380円を頼む。

安い。うまい。

普段の学食のうどん350円より絶対にこっち
いつもより30円高いのにこれもすこーし気分がいい



またテクテクと歩く



いつも通学時には閉まっている変な看板の店が開いていた

看板が変すぎて古すぎて何屋さんかもわかってなかったけど
みた感じヤバそうな場所ではないので入ってみる


ドっっタイプすぎる古本屋だった

古本だけでなくレコードなども置いてある


しばらく眺めていると、

〇〇大学か?

店主のおっちゃんが声をかけてきた


わしも、昔な…


このタイプの店あるあるの
話しの長い店主。

へぇ〜とかって聞いてると、


レコード1枚持ってってええで


このタイプの店あるあるの
心配になるほどのサービス。

素晴らしいレコードとおっちゃんとの出会いに感激しながら
また歩き出す


昼時でたくさんの人が歩いているのに
人混みでその人だけ光って見えた。


いつも行きの電車で一緒になる爽やか系男子

一駅だけ降りる駅が違う彼

歩くスピードを落として目の保養をしていると
小さなカフェの前でエプロンをつけ出した


隣には小柄のキレイな女性

あの雰囲気で彼女じゃないってことが
あるのだろうかと思うぐらいの雰囲気を醸している


彼女でも彼女じゃなくても、
結婚してたとしても、
二人の背中から出るオーラが神々しすぎて

今まで以上に、

推せる。

とか、なんとか考えているうちに
もう夕方になった


何もしなくていい日をあんなに欲していたのに
いざ手放しになると
何をして過ごせばいいかわからないものなんだ

帰り道、
同級生に会うと
今日どうしたん?と
声をかけられそうなので
通りを一本ずらして歩く

いつも顔をあげれないほど
疲れて歩いているあの薄暗い道

一本ズレただけでマンションの陰がなくなり
赤く、焼けに焼けた夕日が見えている


眩しくて下を向くと
全身が照らされてキレイだった

なんとなく着てきたTシャツの心地よさも拾った
これだけ歩いて過ごしたのに
全く汗がしみていないことにも感動した

こんなに気持ちいいTシャツ持ってたのか。
すこーし気分がいい


気づく幸せってたくさんある

って
明日、ノートの友人に話そう



日常の騒音の中でも
すこーしをたくさん見つけたい


さ、課題課題。
これはやっぱりすこーし気分が悪い。

でも、今日はすこーしだけ。


-EIJI-

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