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カプレカ数

カプレカ数。

彼女に別れを告げられた僕が、
今一番あこがれるもの。

カプレカ数とは

桁を並べ替えて最大にしたものから
最小にしたものの差を取ったとき、
元の値に等しくなる数。

例えば、495。

最大にすると、954
最小にすると、459

954 − 459 = 495。元通り。



アルバイト先で出会った2歳上の彼女


彼女を作ろうと思ったこともあまりないぐらい
女性関係なんてほとんどなかった


人間関係も、仕事も、無難にこなす僕

誰とでも社交的で、
みんなから信頼されてる彼女

憧れることさえおこがましいと
思っていたけど


彼女がくれる笑顔にどっぷり浸かっていた

方向が一緒だったから
帰りは二人になることが多かった


「クリスマス予定ないわ〜」


そんなセリフに
ほんまかよ。とか思いながら
ちょっとだけ期待してたり


これが恋か、と
漫画みたいなセリフを唱えながら
全力を注いだ


バイトに行くだけの服なのに
ちょっとおしゃれめにしたり

髪を切るのも
家から近い1000円カットから
梅田の美容室に変えたり



あのとき”垢抜け”というものを
していたのかなと思う


そんな努力を神様が見てたのか、

奇跡が起きた瞬間は
何があったのかわからなかった


「いいよ」っていつもの帰り道に



そこからは、
ほんとにこれまでと同じ人間かと
疑いたくなるぐらい
生活が明るくなった



いままで見向きもされなかった人間が
ひとことも喋っていない女の子に
食事に誘われるようになった


彼女が社会人になったタイミングで
半同棲を始めた

憧れ続けたあの人が
毎日家に帰ってきて、
同じご飯を食べて、
同じベッドで寝る。


こんなに幸せなことはない


彼女と行った場所は全部覚えてる
一緒に過ごした記念日も

というより

彼女といた場所がたまたまその場所で
彼女と過ごした日に”記念日”と名前がついただけ


間違いなく彼女は僕の生活を倍にした



でも同じ家に帰れなくなったいま
僕は彼女と出会う前よりも不幸だと思ってる


あんなに大切だった思い出が
こんなに苦しくなるなんて


彼女にはものすごい幸せをもらった
いま、ものすごい絶望ももらった


一緒にいる時だけ楽しくて
離れれば元通り。


そうあれたらいいのに


僕の生活からほとんどあの人がいなくなった


僕が一生懸命おしゃれしたバイト先に
あの人ががいつも着てきてたTシャツだけ忘れて行った

最大から最小を引いたら
傷とTシャツが残った


そういえばカプレカ数は
3桁では495しか成立しないんだったか。


これが恋か。



-EIJI-

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